危険生物かれん 気まぐれ 男性の声劇シナリオ置き場

これは気軽に声劇をやりたい人向けの自作シナリオ公開ブログです 悪用しない限り自由です

地獄門鬼恋恋歌 第弐門 酒吞童子 五右衛門

男3女性1不問1で書かれています

 

①八咫丸 男性 元凄腕の忍びで今は盲目の黄泉がえり

 

八咫烏 男性 日本の夜明けを守る三本足の烏

 

③桃姫 女性 鬼の最後の生き残りの少女

 

④織田&五右衛門 男性

〇織田 地獄で復活を機をうかがう魔王

〇五右衛門 義理堅い優しい大泥棒

 

⑤混沌 不問

この物語の弾き手

その声と姿は観測者によって変わる

 

この先からは本編です

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八咫烏:これは、江戸が終わり、、、豊臣が日本を統治しようしていた頃話
八咫烏:消えた忍者や闇夜に消えた強者【つわもの】共は
八咫烏:地獄門を鬼の首を差し出すことでくぐり
八咫烏:黄泉の力を手にした
八咫烏:そして、黄泉帰りとして帰り
八咫烏:日本を闇夜に沈めようとしていた、、、

織田:「退屈【たいくつ】じゃのう〜混沌【こんとん】よ」
混沌:「あらあら、織田様」
混沌:「そんな、同じようなことを 述【の】べられてわ」
混沌:「天の目に呆【あき】れられますよ?」
織田:「ん〜?なんじゃ?その天の目とは?」
混沌:「私たちがこうして、彼らを眺めているように」
混沌:「私たちを 上から眺めているものがいるのです」
織田:「わしはそんなやつらの、ご機嫌取りではないわい」
混沌:「分かっております、、、退屈も地獄門が 開かれるまでの些細【ささい】なこと」
織田:「うむ、、、じゃが、面白みがほしいとこじゃ」
織田:「ほれ!混沌!」
混沌:「なんでしょう?」
織田:「三味線【しゃみせん】で聞かせられる。あ奴【やつ】らの歌は無いのかの?」
混沌:「ちょうど良きものが1つ、、、」
織田:「ほう!、、、それは、良き報【しら】せじゃ!」
混沌:「織田様は天下の 大泥棒【おおどろぼう】を知っておりますか?」
織田:「なんじゃ?その小物臭【こものしゅう】しかしないやつは」
混沌:「織田様の刀が着く前に国が送った刺客、、、それが、天下の大泥棒【おおどろぼう】 五右衛門なのです」
織田:「国が黄泉帰りを抱っておったのか!?、、、サルめ♪」
混沌:「嬉しそうですね、、、」
混沌:「さて、、、これは、彼との戦いの話」

五右衛門:地獄門鬼恋恋歌 第弐門 酒呑童子【しゅてんどうじ】 五右衛門【ごえもん】

混沌:「夕暮れ時、それは黄泉帰りの身体が軽くなる時間」
混沌:「起きていたのは 目を布で隠した侍」
混沌:「八咫丸【やたまる】は 夕食の支度【したく】をしていた」
八咫丸:「良き魚、野菜、味噌があって良かった、、、これで、鍋にできる」
八咫烏:「お前は、本当に鍋が好きだな、、、兄弟」
混沌:「近づいてくるは 足が3本の奇怪【きかい】な烏 八咫烏【やたがらす】」
八咫烏:「奇怪じゃないやい!」
八咫丸:「誰に話している?兄弟」
八咫烏:「いや、、、気にしないでくれ」
八咫丸:「そうか、、、」
八咫丸:「ちなみに、拙者【せっしゃ】は鍋好きではない」
八咫烏:「ほう?」
八咫丸:「鍋であればみんなでつつけて食べやすいからだ」
八咫烏:「なるほど」
八咫丸:「そうして、互いに話して情報交換するのだ」
八咫烏:「ん、、、そうか!」
八咫丸:「流石、、、感が良いな兄弟」
八咫烏:「その口実【こうじつ】で 桃姫様と仲良くなるのだな!」
桃姫:「そういう話は本人のいないとこでしろ」
混沌:「まだ、おなごである 桃姫はそう言う」
八咫烏:「まぁまぁ、桃姫様。我らの誠意だと 思い受け取ってくだされ!」
桃姫:「そなたは何もしてないだろ?八咫烏
八咫丸:「いえ、、、そのような事はございませぬ」
八咫烏:「そうでありますぞ!我は八咫丸の兄弟であり目なのです!」
桃姫:「えと、、、と、言うと?」
八咫丸:「八咫烏が見たものを 拙者が見ることが出来るのです」
桃姫:「何と!」
八咫烏:「我らが、兄弟の契【ちぎ】りを交わしているゆえの力です」
桃姫:「黄泉の者の契約とは、そんなものを与えるのか!」
八咫丸:「月詠【つくよみ】を扱【あつか】えるのも 八咫烏のおかげでございます」
桃姫:「そう、聞くと二人で一人であり 兄弟うのも納得【なっとく】がいく」
八咫烏:「血より濃い絆だと、我も信じておりますぞ!」
八咫丸:「その思いに答えられるよう、、、精進【しょうじん】いたす」
桃姫:「八咫丸は相変わらず堅苦しいの〜」
八咫丸:「はぁ、、、」
桃姫:「妾【わらわ】に恋するといいながら、こう、、、距離のある言葉を使うのはどうかと思うぞ?」
八咫烏:「我もそう思うぞ!兄弟!」
八咫丸:「なんと!目上の方との恋とは、その離れた関係を楽しむものかと!」
桃姫:「、、、お主、変な知識ばかりはあるようじゃな」
混沌:「仲良く話していると」
混沌:「カタカタ!っと 何かが動く音がする」
八咫丸:「!? 侵入者のようです」
桃姫:「こんな、夜更けにか?」
八咫烏:「兄弟!気をつけろ!強者【つわもの】の匂いがぷんぷんするぞ!」
混沌:「刀を構え食事の用意された居間を開けると」
五右衛門:「おう!いつまでも、話してるから先に食べておったぞ!」
混沌:「アフロのような 頭に甚平【じんべい】を着た人物がいた」
八咫丸:「貴様!」
五右衛門:「おっと、、、」
混沌:「刀を抜こうとする 鞘【さや】に一瞬で近づき 手で柄【つか】を押さえる 五右衛門」
五右衛門:「抜くには早いじゃろ?半蔵殿、、、今は八咫丸殿かの?」
八咫丸:「お主!」
桃姫:「やめろ!八咫丸!」
混沌:「止める桃姫」
桃姫:「その者は、よく国の使いとして来ていた五右衛門じゃ!」
八咫丸:「五右衛門?」
五右衛門:「まぁ、、、お主からみたら、おいらは小さな盗人【ぬすっと】よ!」
混沌:「さて、、、と、瓢箪【ひょうたん】を取り出す 五右衛門」
混沌:「皿に中の酒を注ぎ」
五右衛門:「宴としようではないか、、、二人で食べるのは寂しかろう?」
八咫烏:「我もおる」
五右衛門:「わはははは!そうであったの!」

織田:「五右衛門?」
混沌:「石川 五右衛門、、、お知りなさらず?」
織田:「ただの盗人のことなど、気にもとめんわ」
混沌:「ですが、彼は ただの盗人ではありませぬ」
織田:「ほう、、、」
混沌:「元、忍び、、、」
織田:「なんと!こんな奴もおるのか!」
混沌:「えぇ、、、どこの方は控【ひか】えておきましょう」
織田:「そう言われると、、、気になるではないか!」
混沌:「そのくらいが良いです」
混沌:「知れば幸せとは限らないのですから、、、」
織田:「お主の目のようにか?」
混沌:「えぇ、、、」
混沌:「では、、、続きを弾【ひ】いていきましょう」



五右衛門:「ふははは!しかし、八咫丸どのよ、、、食事だけならともかく」
五右衛門:「晩酌【ばんしゃく】にも付き合ってくれてるとはのう!」
八咫丸:「桃姫も、信頼しているお方ゆえ」
八咫烏:「おいおい!兄弟!そやつは国の使いだぞ!」
桃姫:「五右衛門は信頼たる人物だ、、、安心せい」
五右衛門:「いや、、、そうでも無いさ」
混沌:「そうして、最後の酒を飲み終える 五右衛門」
五右衛門:「桃姫、、、おいらはあんたを殺しに来た」
桃姫:「、、、そんな!なぜ?」
五右衛門:「今まで、あんたの死を国に隠せてきたが、、、そろそろ限界だ」
八咫丸:「織田の、、、刀達か?」
五右衛門:「左様【さよう】、、、地獄に落ちた彼らは織田の旗本【はたもと】に集まっておる」
五右衛門:「敵も味方も問わずにな」
桃姫:「なぜじゃ?」
五右衛門:「現世に戻り、名お馳【は】せ、夜を楽しみたいものじゃ」
五右衛門:「地獄に落ちたものは皆、夜が恋しくなる」
八咫烏:「そなたもか、、、」
五右衛門:「あぁ、、、御国【おくに】に全てを奪われ 釜焼きされた おいらは」
五右衛門:「酒呑童子の肉を食わされ 黄泉帰りとなった!」
桃姫:「なんて、、、恐ろしいことを!」
八咫丸:「下劣【げれつ】な!」
八咫烏:「して、、、主は?」
混沌:「寂しそうに笑う 五右衛門」
五右衛門:「おいらは死んで、、、黄泉帰り、、、最初に感じたのは、、、安堵【あんど】であった」
五右衛門:「娘までも 殺されたのに、、、おいらは安堵したんだ!」
混沌:「震える 五右衛門の手」
八咫烏:「そうで、、、あったか」
五右衛門:「お国は おいらに桃姫を殺すように命じた」
桃姫:「なら!、、、なら、なぜ殺さなかった!」
五右衛門:「出来るわけなかろう!」
混沌:「五右衛門の怒声が 屋敷に響き渡る」
五右衛門:「さて、、、立つんや、、、八咫丸!」
八咫丸:「うむ、、、」
混沌:「向かい合う二人」
八咫烏:「ん?」
混沌:「八咫烏の呼び掛けに、天に満月が登ろうとしていた」
八咫烏:「まさか!?お主!この時を待っていたのか!?」
五右衛門:「さて、、、手加減【てかげん】はいらへん!ここで、おいらに負けるなら!お前に桃姫は守れない!」
混沌:傾【かぶ】く構えを取る 五右衛門
八咫丸:「拙者、、、桃姫の刀として、そなたを斬る!」

織田:「つまらんのう、、、何をしておる?」
混沌:「つまらなく感じましたか?」
織田:「どうせ、この後の半蔵の一太刀【ひとたち】で終わるのじゃろ?」
混沌:「クスス」
織田:「、、、何を笑っておる?」
混沌:「いえ、、、そうはいかないのが、この、、、鬼恋恋歌」

五右衛門:「五右衛門流喧嘩術 激!突っ張り!」
八咫丸:「、、、く!」
桃姫:「八咫丸!」
八咫丸:「来てはなりませぬ!桃姫!、、、これは、、、命をかけた果し合いゆえ」
五右衛門:「いっちょ前に、かっこをつけてくれるのぅ、、、」
五右衛門:「ならば、小細工【こざいく】は不要!五右衛門、、、押してまいる!」
桃姫:「まて!」
混沌:「止められる 二人」
桃姫:「なぜ、二人が戦わねばならぬ!手を取り合う道はないのか!」
五右衛門:「すまぬ、、、桃姫。おいらの体は不可思議【ふかしぎ】な状態じゃけん」
五右衛門:「国がよこす 丸薬【がんやく】を飲まねば、この身は朽【く】ちるのだ」
桃姫:「そんな、、、」
八咫丸:「見たこともない丸薬ですな」
八咫烏:「国も恐ろしいことをするものよ!」
八咫丸:「、、、八咫烏。もう一度、月詠を抜こう」
八咫烏:「しかし、、、零れ水は 二度通じる技ではないぞ!」
八咫丸:「力には、、、力で答えたい!」
五右衛門:「そう、、、ここで、おいらに押し切られるようじゃあ」
五右衛門:「あんたらは どの道おしまいじゃ!」
桃姫:「お願いじゃ、、、妾の願いを聞いてくれ!」
混沌:「引かない二人、、、引けない二人」
五右衛門:「桃姫、すまねぇ、、、おいらは不器用な男だからよぅ」
五右衛門:「こういう方法でしか 答えられねぇんだ!」
桃姫:「五右衛門、、、」
八咫烏:「桃姫!、、、命をくだされ!」
八咫丸:「桃姫、、、」
桃姫:「八咫丸、、、」
八咫丸:「拙者は、五右衛門殿に示したい!、、、桃姫を守れる刀だと!」
桃姫:「そうか、、、そうするしかないのじゃな」
五右衛門:「半蔵、、、おいらを越えろ!おいらに、、、これ以上、子供の泣き顔を見せないでくれ!」
桃姫:「八咫丸、、、八咫烏!妾の名で命ずる!目の前の敵、、、五右衛門を討【う】て!」
八咫烏:「今宵【こよい】も月を呼べた! 我らに天は味方した!」
八咫丸:「月が隠した 闇を払おう、、、顔を上げろ!月詠!」
混沌:「先程まで鋼【はがね】であった 刃【やいば】はガラス様に輝く刀身に変わる」
五右衛門:「何度見ても美しい刀身よ、、、だが!おいらに同じ手は通じん!」
五右衛門:「次で終【しま】いや!」
八咫丸:「押し切るのは、、、拙者だ!」
五右衛門:「五右衛門流喧嘩術 激 突っ張り地獄!」
五右衛門:「おら!ら!ら!ら~!」
八咫丸:「黄泉流決闘術、、、」
八咫烏:「五月雨式【さみだれしき】、、、激流奏【げきりゅうそう】」
混沌:「夕立の音がする斬撃【ざんげき】、、、それは五右衛門の突っ張りを押しのけ襲い掛かる」
五右衛門:「こ、、、これが、あんたの全力か!八咫丸!!」
八咫丸:「五右衛門殿、、、あんたは強かった!」
混沌:「八咫丸が刀を鞘に納める と、同時に五右衛門は血の海の上に倒れる」

五右衛門:「これで、、、よかったんや」
混沌:「満足そうに笑う五右衛門」
混沌:「その傍【かたわ】らで鳴く 桃姫」
桃姫:「ひっくひっく、、、五右衛門!」
五右衛門:「桃姫、、、富士の地獄門を目指すんや、、、そこを閉じることは おまんしかできない」
混沌:「五右衛門は八咫丸に向け」
五右衛門:「桃姫を、、、頼む」
混沌:「と言い、目を閉じる五右衛門、、、思い出していたのは 桃姫と出会った日のこと、、、」

幼い桃姫:「おじさん!」
五右衛門:「、、、ん?」
幼い桃姫:「どうして泣いてるの?」
混沌:「小さなその子を斬ることを 命じられた五右衛門、、、だが」
五右衛門:「そうか、、、おいらは 泣いていたのか」
混沌:「その子と守れなかった 娘が重ねていた」
五右衛門:「なぁ、、、桃姫」
幼い桃姫:「なに?」
混沌:「ボロボロの服を生きた、、、彼女に嘘をつく」
五右衛門:「強く、、、生きるんじゃぞ」
五右衛門:「どれほど、憎まれ、、、石を投げられようとも、、、国がそなたを守ってくれるだろう」
混沌:「その嘘が、、、彼女を生かしていたことを、彼は知らない」

織田:「中々ものだが、、、物足りぬのうぅ」
混沌:「あなたにとっては、そうかもしれませんね 魔王様」
織田:「その五右衛門とやらは わざわざ半蔵に殺されに来たのだろう?」
混沌:「そう思われますか?」
織田:「頭を使わずともわかることよ、、、つまらぬ」
混沌:「私は、、、そうは思いませんよ?」
織田:「何故じゃ?」
混沌:「こうした経験が彼らという果実を美味しくさせるのですから、、、」
織田:「そういうものなのか?」
混沌:「ええ、、、」
織田:「なら、、、待つとするかの、、、あやつらの実が熟【じゅく】すのを」
混沌:「ええ、、、でも、その前に この歌も〆【しめ】ておきましょう」

桃姫:「八咫丸、、、五右衛門の墓を作ってくれたこと感謝するぞ」
八咫丸:「いえ、、、拙者も五右衛門殿の墓を建てたかった所存【しょぞん】」
桃姫:「そうか、、、」
八咫烏:「強き、、、男であったな」
八咫丸:「あぁ、、、手ごわい男であった」
桃姫:「そじゃな、、、五右衛門は」
混沌:「取り出した一輪の花を墓に添える 桃姫」
桃姫:「良き男であった、、、」
混沌:「二人は傘を持ち荷をまとめていた」
混沌:「五右衛門に言われた地獄門を目指すために、、、」
桃姫:「行こうかの!」
混沌:「こうして、、、桃姫たちは、、、五右衛門の残した光は旅に出たのであった、、、」
混沌:「これにて第弐門 酒吞童子 五右衛門は、終演でございます」

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次回は 化け狸 佐々木小次郎編となります

地獄門鬼恋恋歌 第一門 餓鬼 雷童

五人台本の時代劇妖怪バトル物になります

男性3 女性1 男女不問1

の対比になりますが、楽しんで貰えたら比率は問いません

 

配役

①八咫丸 男性 元凄腕の忍び

 

八咫烏 男性 日本の夜明けを守る由緒正しい妖

 

③桃姫 女性 鬼の生き残りのお姫様 芯が強い

 

④織田&餓鬼 雷童 男性

〇織田 織田信長 第七魔王と呼ばれた男 地獄にいる

〇餓鬼 雷童 凄腕の忍び 地獄で餓鬼を食べてしまい自尊心の塊となってしまう

 

⑤混沌 不問

地獄で織田に鬼恋恋歌を聴かせる不思議な存在

その姿と声と話し方は聞く人に変わり

様々な物語を紡いでいく

 

◆本編◆

八咫烏:「世は戦国末期、、、」
八咫烏:「織田が死に日本は統治されようとしていた」
八咫烏:「しかし、人知れず日本は闇夜【やみよ】に変わろうとしていた」
八咫烏:「地獄の門を叩く者たちよって、、、」

織田:「退屈【たいくつ】じゃのう〜混沌【こんとん】よ」
混沌:「これはこれは織田様、、、」
織田:「そろそろ、我が駒【こま】が 鬼の首をささげ 門を開く頃、、、なぜ、開かぬ?」
混沌:「おやおや、、、お知りになさらず?」
織田:「こうして、地獄釜【じごくがま】焼かれていたからのう〜」
織田:「いつの間にか極楽【ごくらく】となっておったわ」
混沌:「あらあら」
織田:「して、、、しきりに三味線【しゃみせん】を鳴らしてるそなたは嬉しそうだが?」
混沌:「おや?、、、お気づきでしたか」
織田:「わしの目は未だに腐ってはおらぬよ、、、」
混沌:「では、お聞きになされますか?」
織田:「何をじゃ?」
混沌:「運命に抗う二人の恋物語、、、」
織田:「ほう、、、そこに わしが知りたい答えがあるのじゃな!」
混沌:「えぇ、、、そこに あなたの探す鬼がおりますよ、、、彼女の名は、、、」
混沌:「桃姫」

餓鬼 雷童:地獄門鬼恋恋歌【じごくもんおにこいれんか】 第一門 餓鬼【がき】雷童【らいどう】

混沌:「外れた山の一角に 人知れず 匿【かくま】われた姫あり」
混沌:「彼女は 手鞠歌【てまりうた】を歌いながら、死ぬ時を待っておりました」
桃姫:「ひと〜つ、知られぬ森の奥」
桃姫:「ふた〜つ、人知られぬ鬼がおり」
桃姫:「み〜つ、人知られず首をきる」
桃姫:「だ〜れも知られぬ森の奥」
桃姫:「寺〜の奥に門がある」
桃姫:「開けてはならなぬと地獄門あり、、、」
混沌:「そんな彼女の元に一人の布で目を隠した お侍さんが現れたのです」
八咫丸:「そなたが、、、桃姫どのかな?」
桃姫:「そなたは、、、」
混沌:「誰もいない廃【すた】れた屋敷、、、そこにひざまずく お侍あり」
八咫丸:「そなたをお守りするため、、、この八咫丸【やたまる】 ここに馳【は】せ参【さん】じました!」
混沌:「しかし、投げつけられたのは手鞠でした、、、」
桃姫:「帰れ!うつけ者!」
混沌:「投げつけられる手毬を身体で受ける侍」
桃姫:「そなた達、人間に母も家族も殺された!」
桃姫:「そなたも、どうせ地獄門を開きに来たのじゃろ!」
桃姫:「帰れ!」
混沌:「泣きじゃくる女子は 屋敷の中へと消えていった」
八咫丸:「うまく、、、いかんもんだな」
八咫烏:「当たり前だ兄弟、、、そなたら忍者がしたことを忘れたか?」
混沌:「八咫丸の元へ奇妙【きみょう】な烏【からす】が現れる」
八咫丸:「忘れた訳ではあるまい、、、ただ」
八咫烏:「ただ?」
八咫丸:「どうしてら良いか、、、分からぬのだ?」
八咫烏:「はぁ〜ヌシは 本物のうつけ者だな 兄弟」
八咫丸:「うむ」
八咫烏:「よいか?兄弟」
八咫丸:「あぁ、、、」
八咫烏:「泣く女子おったら 優しく慰【なぐさ】めるのが男というものよ」
八咫丸:「なるほど、、、流石【さすが】は兄弟」
八咫烏:「ゆけ!ここで好感度を稼【かせ】げば、桃姫攻略が楽になるぞ!」
八咫丸:「この八咫丸、、、推【お】して参る!」
混沌:「そんな訳で逃げ出した桃姫を探して駆け回る一人と一匹なのであった、、、」

桃姫:「ぐず、、、母上、、、桃姫はつらいです」
混沌:「物置に逃げ込んだ桃姫は まだ、泣いておりました」
混沌:「母に生きろと言われ、、、母に産んだことを謝られた 彼女は生きることを迷っていたのです」
桃姫:「母上、、、」
混沌:「手に持たれた包丁を首に近づける」
八咫丸:「探しましたぞ姫、、、あっ!危ない!」
桃姫:「きゃーーー!」
混沌:「物置に現れた八咫丸は桃姫の包丁の刃を刀の鞘【さや】で砕【くだ】きました」
八咫丸:「ふぅ、、、危ないとこでした」
桃姫:「危ないのはそなたじゃ!?」
八咫丸:「なん、、、ですと!?」
桃姫:「いや!その驚きはなんじゃ!?」
八咫丸:「兄弟にこうすれば、好感度が上がると聞きおよび」
桃姫:「んな、わけあるか!」
八咫丸:「なんと、、、」
桃姫:「お主、、、本物のうつけ者じゃな」
八咫丸:「拙者【せっしゃ】は よくそう言われますが気にしたことがなく」
桃姫:「少しは気にしろ!」
混沌:「二人の漫才は 二人が疲れるまで続いたという、、、」
桃姫:「もう、だめだ、、、疲れてもうた」
八咫丸:「ならば、この八咫丸の手料理をお披露目【ひろめ】いたしましょう、、、」
混沌:「台所に立とうとする 八咫丸」
桃姫:「おいおい!誰が使って良いと言った!」
八咫丸:「ん?使ってないものは使用して問題なかろう?」
桃姫:「あるわ!家主【やぬし】の許可をとれ!うつけ者!!」
八咫丸:「そういうものなのか、、、」
桃姫:「そうだ!」
混沌:「そう言いながらも2人は食事の準備をしたのです、、、」

織田:「うむ、、、で?」
混沌:「で?とは、、、」
織田:「それがどうして、地獄門を開けるのが遅れることに繋がる?」
混沌:「ふふふ♪焦【あせ】らないでください、、、食事の後に来訪者【らいほうしゃ】が来たのですよ」
織田:「ほう、、、」
混沌:「名前は雷童【らいどう】」
織田:「甲賀忍者【こうがにんじゃ】で餓鬼を食った小僧か!なるほど、、、それは愉快【ゆかい】なことよ」
混沌:「ええ、、、ですが」
混沌:「物語はそううまくゆかぬのですよ、、、」

混沌:「質素な食事を終えた2人」
桃姫:「あまり、腹がいっぱいにならんかったのぅ、、、」
八咫丸:「何!?こんなにも豪勢【ごうせい】なのにか!?」
桃姫:「え?」
八咫丸:「ん?」
混沌:「それ以上は聞かないことした 桃姫」
餓鬼 雷童:「たのもう、、、」
混沌:「そこに訪れる 黒の着物を着込み般若【はんにゃ】の仮面を被った男」
桃姫:「は!貴様は誰だ!」
八咫丸:「うるさいと思ったらお前か」
餓鬼 雷童:「うるさくて悪かったな!」
混沌:「そこに奇妙【きみょう】な烏【からす】も駆【か】けつける」
八咫烏:「気をつけろ!兄弟!!そいつは」
餓鬼 雷童:「遅い!」
混沌:「手刀【しゅとう】から雷【いかづち】をまとった一撃が飛ぶ」
餓鬼 雷童:「甲賀忍術 雷走【こうがにんじゅつ かみなりばしり】!」
八咫烏:「餓鬼【がき】を食らった小僧だ!」
混沌:「桃姫に放たれた 一撃を受け壁となる八咫丸」
八咫丸:「良き一撃だ、、、だが、遅いな」
餓鬼 雷童:「な!?雷走を受けて立っているだと!?」
混沌:「手裏剣【しゅりけん】を投げる 雷童」
八咫烏:「くるぞ!兄弟!」
八咫丸:「あぁ!」
混沌:「全てを刀の鞘で受け流す 八咫丸」
餓鬼 雷童:「何処【どこ】の忍びだ!名を名乗れ!」
八咫丸:「名乗る名は捨てた、、、今の拙者は」
混沌:「一瞬で近づき鞘を当てる八咫丸」
八咫丸:「桃姫の刀、、、八咫丸よ!」
八咫烏:「よし!」
餓鬼 雷童:「ぐは!」
混沌:「吹き飛ばされる 雷童」

織田:「何!?あの雷童を吹き飛ばすだと?」
織田:「そやつ、、、何者だ!」
混沌:「落ち着いてくだされ 魔王殿」
混沌:「ネタバレは、、、この鬼恋恋歌の中で」

餓鬼 雷童:「何故、殺さぬ?」
混沌:「立ち会う両者」
八咫丸:「姫の命【めい】が出ておらぬからな、、、」
八咫烏:「このうつけ者が!《八咫丸に向かって怒って》」
八咫烏:「、、、桃姫よ!命をくだされ!」
混沌:「桃姫の上を飛びまわる奇妙な烏」
桃姫:「そなたは?」
八咫烏:「名を八咫烏【ヤタガラス】と申す!八咫丸の目であり兄弟と思ってくだされ」
桃姫:「八咫烏?あの?」
八咫烏:「左様【さよう】、、、地獄門の門と夜明けを守るため」
八咫烏:「我ら、鬼を守り黄泉帰【よみがえ】りを殺すためにやってきた!」
桃姫:「黄泉帰り?」
八咫丸:「拙者達のようなもののことだ、、、」
混沌:「ぶつかり合いながら話す 両者」
餓鬼 雷童:「なるほど、、、やはり、貴様は黄泉帰りか!」
八咫烏:「生きて地獄門を潜【もぐ】り力を得て 帰ってきたもの達を人は黄泉帰りと呼ぶ!」
餓鬼 雷童:「しかし、、、おかしな話だ」
餓鬼 雷童:「お主、、、何故、そんな簡単に拙者についてこれる?」
餓鬼 雷童:「甲賀でも屈指【くっし】の速さの拙者に」
八咫丸:「簡単な話だ、、、忍者としてなら、拙者の右に出るものはいない」
餓鬼 雷童:「世迷【よまよ】いごとを!」
混沌:「空気がかわる雷童の両者に恐ろしい殺意が生まれる」
餓鬼 雷童:「地獄の餓鬼食べて得た この身体の一撃を見てから言え!」
混沌:「放たれる雷童の秘奥義 それは両手から放たれる手刀から7匹の蛇のような雷を出す一撃」
餓鬼 雷童:「甲賀秘奥義 雷走大蛇【かみなりばしりおろち】!!」
桃姫:「八咫丸〜!!」
混沌:「その一撃を受け、、、なお倒れない者あり」
餓鬼 雷童:「な、、、何故、倒れぬ!」
八咫烏:「兄弟、、、」
八咫丸:「姫、、、命を、、、おやつを切る命を!」
桃姫:「なら!命じる!逃げろ八咫丸!」
混沌:「泣く姫」
桃姫:「もう、、、誰も死ぬとこは見とうない」
混沌:「答える、、、姫の刀」
八咫丸:「約束しましょう、、、この八咫丸」
八咫丸:「あなたが死ぬまで、、、折れぬと!!」
混沌:「世界が光る」
餓鬼 雷童:「なんだ!?満月の光か?」
八咫烏:「今宵【こよい】も月を呼べた!我らに天は味方した!」
八咫丸:「月が隠した闇を払おう、、、顔を上げろ!月詠【つくよみ】!」
桃姫:「え!?」
混沌:「先程まで鋼【はがね】であった刃【やいば】はガラス様に輝く刀身に変わる」
八咫丸:「桃姫、、、」
桃姫:「なぜ、そこまでするのじゃ?」
混沌:「答える二人の烏」
八咫丸:「そなたの母の願い」
八咫烏:「生きての言葉を叶えるため!」
混沌:「胸に手を当て、覚悟を決める姫」
桃姫:「そうか、、妾【わらわ】、、、桃姫の名で命ずる!八咫丸、、、八咫烏!目の前の敵を討【う】て!」
八咫烏:「待ってました!」
餓鬼 雷童:「だが、遅い!」
混沌:「放たれる雷」
餓鬼 雷童:「これで!散れ!甲賀秘奥義 雷走大蛇!!」
混沌:「しかし、その一撃は消えた」
餓鬼 雷童:「な!?」
八咫丸:「黄泉流決闘術【よみりゅうけっとうじゅつ】」
八咫烏:「明鏡止水【めいきょうしすい】、、、零れ水【こぼれみず】!」
混沌:「水の音と共に雷童で首が落ちる」
餓鬼 雷童:「そうか、、、あんたが」
餓鬼 雷童:「消えた、、、服部半蔵【はっとりはんぞう】」
混沌:「崩【くず】れ落ちる 忍び」
八咫丸:「それは捨てた名だ、、、今の我は姫の刀なり!」
混沌:「そうして、、、決着となる」

織田:「半蔵!生きおったか!」
混沌:「、、、嬉しそうですね」
織田:「あぁ!嬉しいぞ!」
織田:「わしを退屈にさせてくれるなよ!半蔵!」
混沌:「、、、裏切り者の彼をどうするつもりで?」
織田:「わしので迎え討つのみ!」
織田:「そう、、、わしの刀達で!」
混沌:「おやおや、、、それは、愉快なことで」
織田:「あぁ!覗【のぞ】いてるがいい混沌よ!」
織田:「わしらの闇夜【やみよ】を賭【か】けた戦いを!」
混沌:「えぇ、、、」
混沌:「しかし、その前に終わりを弾かせてください」

混沌:「夜明けが二人と一匹にやってくる」
桃姫:「生き残ったのか?妾たちは」
八咫丸:「左様、、、」
八咫烏:「これより、私たち2人があなたの刀となり盾【たて】となりましょう、、、」
桃姫:「そうか、、、そのためだけに来たのか?」
八咫丸:「いえ、、、」
桃姫:「ん?」
八咫丸:「あなたに恋するために来ました」
桃姫:「、、、嘘じゃろ?」
八咫丸:「本気でございます」
八咫烏:「おい!おい!頼むぞ!兄弟」
八咫烏:「告白はムードが大切なのだ」
八咫丸:「初耳だ、、、」
桃姫:「まぁ、よい、、、そなたの世迷いごとはともかく」
桃姫:「そなたが妾を守ってくれるのだろ?」
八咫丸:「この世の夜明けと貴方を守るため、、、」
八咫烏:「その約束守りましょう!」
桃姫:「あと一つ守るものがあるじゃろ?」
八咫丸:「なんでしょう?」
桃姫:「私が死ぬまで、、、一人にしてくれるなよ?」
混沌:「これにて第一門 餓鬼 雷童、、、終演でございます」

0:続編はあるかも?ないかも?
0:あるとしたら、酒呑童子【しゅてんどうじ】と戦います

◆終◆

博士は今日も失敗する 二人劇 5分ほど

二人劇として書かれています

博士は 男性

ナナは 女性をイメージしていますが

楽しんで貰えたら男女不問で扱ってもらっても大丈夫です

 

【今日も博士は失敗する】

ナナ:「私は最先端AI搭載アンドロイド 個体名ナナ」
ナナ:「これは、私の生みの親である博士の記録である」

ナナ:「今日も博士は失敗する」

博士:「ふむ」
ナナ:「博士」
博士:「どうした?ナナ」
ナナ:「これで何度目の失敗ですか?」
博士:「失敗の数が100を超えてからは数えなくなってな」
ナナ:「これで、181回目です」
博士:「そうか!もうすぐで200を超えそうだな」
ナナ:「めでたい事ではないですよ?失敗は」
博士:「何を言ってるんだい?ナナ」
博士:「発明に失敗ほど目出度いものはない!そうだろう?」
ナナ:「その度に作り上げた研究所を爆発させてたら身が持ちませんよ?」
博士:「そう…だね」
ナナ:「…まだ、諦めてないんですか?」
博士:「あぁ…私は、まだ、諦めてないよ」
博士:「必ず完成させてみせる!最後の人類として!」
ナナ:「博士」
博士:「なんだい?」
ナナ:「博士って…大馬鹿ですよね?」
博士:「研究者にとって、それは褒め言葉だよ?ナナ」

ナナ:「先生は…そんな人だった」

博士:「さて…新しい街に着いたね」
ナナ:「人類の生存反応は…今回も確認できませんでした」
博士:「そうか…残念だ」
ナナ:「博士以外の人類が消えて50年は経ちました」
博士:「そうだね」
ナナ:「諦めないんですか?」
博士:「いや、諦めようがないんだよ」
ナナ:「何故ですか?」
博士:「あの日を何度も思い返しても人類が消えるだけの出来事があったとは思えない」
ナナ:「…けど」
博士:「きっと、消えたのは私なのだろう」
博士:「あの世界で居場所を作らなかった私を見て、気まぐれな神様が意地悪か慰めを抱きこの場所へ押し込めたに違いない」
ナナ:「そうでしょうか?」
博士:「なぁ、ナナ」
ナナ:「何ですか?博士」
博士:「この先には…どんな町があるんだい?」
ナナ:「この先は…」

ナナ:「私達はこんな旅を50年続けてきた…50年」
ナナ:「それは私にとってはあっという間で」
博士:「私にとっては長い旅だったよ」
ナナ:「博士…今日で182回目の失敗です」
博士:「そうか」
ナナ:「博士」
博士:「ん?」
ナナ:「博士は…何を作ろうとしてるんですか?」
博士:「何だと思う?」
ナナ:「分かりません」
博士:「本当にかい?」
ナナ:「何でそんな事を言うのですか?」
博士:「ずっと、疑問に思ってた事があるんだ」
ナナ:「何ですか?」
博士:「なぜ、85歳になっても私は研究を続けられるんだろうか?と、ね」
ナナ:「それは」
博士:「私が他の人より健康体だから…違うだろう?」
博士:「この世界の私は精神的な存在だから…何だろう?」
ナナ:「いつ気づいたんですか?」
博士:「もう一度、君を作ろうとして182回目で辿り着いた。私の答えだよ」
ナナ:「遅いですよ。博士」
博士:「あぁ…けど」

博士:「183回目は成功しそうだ」

ナナ:「それは誰の為に作られるアンドロイドなのですか?」
博士:「正確には私が書き上げるのはAIプログラムと彼女の設計図だ」
ナナ:「博士」
博士:「これは…君の為に作ったアンドロイドだ」
博士:「ナナ…お誕生日おめでとう」
ナナ:「博士」
博士:「何だい?」
ナナ:「私の誕生日は先月です」
博士:「…そうだっけ?」
ナナ:「やっぱり博士は…大馬鹿者ですね」

ナナ:「記録再生終了…スピカ」
ナナ:「これが、貴方のお父さんの記録ですよ」

「気まぐれキラービーの英雄譚~堕落騎士ドル・ゴルドーへの思い~」

のべるぶのノベルニア向けに書いた台本です

他のライターさんの設定があるので大切に扱ってくれたら嬉しいです

 

「気まぐれキラービーの英雄譚~堕落騎士ドル・ゴルドーへの思い~」
推定10分程度
配役 四人 男性か女性かはイメージです 好きに演じてもらって構いません
アリシア 男性 神父姿の気まぐれキラービーのギルド長 ゾンビでもある
カルテ 女性 人狼の血筋を引く新人同志 頭にくると直ぐにキレて殺す癖がある
バンビ 男性 巨体なミノタウロス 本人なりの礼儀を重んじる同志
ヴァン 女性 ふくよかな男性の血を好む吸血鬼 好みで殺しをするため 気まぐれキラービーが居心地が良いが 他の裏ギルドと掛け持ちしていると噂が絶たない

0:ここはテルミア王国地下水道に隠された迷宮の奥地
0:そこに暗い仕事を生業としている 裏ギルドの集会場がある
アルシア:「あぁ…ゴルドー…我らが英雄ゴルドーよ!」
アルシア:「あなたが死んで、数刻の時が過ぎました」
アルシア:「私たちの声が聞こえていますか!?」
0:教会のような装飾の食堂にてその声が木霊となり響く
カルテ:「あぁ~…ギルド長アリシア?」
アルシア:「なんだね?新人同志カルテ」
カルテ:「あたしは、今日この殺し屋ギルド」
カルテ:「気まぐれキラービーの集会がある と、聞いたんだけど」
バンビ:「俺も聞いたな」
ヴァン:「私も~」
アルシア:「その通りだ…同志たちよ!このテルミア拠点にある【気まぐれキラービーの大食堂】に良く集まってくれた!」
カルテ:「…集まり悪くないです?」
0:空席の目立つ大きな食堂に皆が顔を合わせる
バンビ:「いつもの事だ」
ヴァン:「いつもの事じゃ~ん?」
バンビ:「その理由も分かり切っている」
0:カルテは目の前に置かれた フルコースを見て顔をしかめる
カルテ:「ギルド長…この料理は」
アルシア:「厳選されたベルクイハムシのスープだ…美味しそうであろう?」
バンビ:「ちなみにこれは?」
アルシア:「貴重なトゲアリトゲナシのベルクイムシモドキの肉を使ったパイだ」
ヴァン:「ねぇ…これって」
アルシア:「いつも、おかずに出しているベルクイトゲアリハムシの素揚げだ。美味しいぞ」
カルテ:「どうして、昆虫フルコースなんですか!」
0:机をたたき大きな音を立てるカルテ
アリシア:「…今時の若い子は気が短いのかな?同志ヴァン」
ヴァン:「ん?そんな事はないと思うよ~お姉さんもこんな料理がデートに出されたら怒って帰っちゃうもの」
バンビ:「バリバリ…そうか?味は…悪くないぞ」
カルテ:「えぇ~…」
ヴァン:「アリシア様。血のワインはあるかしら?」
アリシア:「安心したまえ。昨日、殺した【セルシア王国】のまるまる太った商人の生き血で作ったワインがここにある」
ヴァン:「キャー!ギルド長イケメン」
0:受け取ったグラスのワインを愛おしげに眺めるヴァン
カルテ:「セルシア王国の商人…紛争問題になりませんか?」
アリシア:「匙なことだ…もし、そうなるなら」
カルテ:「なるなら?」
アリシア:「その時が…我らが【歴史に残る英雄譚】となる時だ」
カルテ:「【歴史に残る英雄譚】」
バンビ:「ん?ギルド加入時に説明されなかったのか?」
カルテ:「紹介人のパテストさんには【死にたいならここに入れ】と紹介されただけなので」
ヴァン:「あのピエロ野郎の紹介ね~」
バンビ:「なら、仕方あるまい…彼奴は大事なところを話忘れる癖があるからな」
アリシア:「こらこら…愚痴りたくなるだろうが、私の前で同志パテスト悪口はよしてくれ」
バンビ:「そうであったな…すまない」
アリシア:「分かればよいのだ…同志カルテ」
カルテ:「は…はい」
アリシア:「君にとっての【歴史に残る英雄譚】とは何だね?」
カルテ:「あたしに…とって」
0:言い淀むカルテ
アリシア:「素直に答えでいい」
カルテ:「思い…つきません」
カルテ:「少なくても、あたしが知るこの世界は薄汚れた欲望を腹に抱えた獣たちだけが幸せになる」
カルテ:「そんな世界です」
アリシア:「そうか…知見が狭いのだね?」
カルテ:「は…はぁあ!?」
ヴァン:「あら~不味くない?」
バンビ:「それこそいつもの事だ」
アルシア:「恥じる事はない…このギルドで沢山知見を広めると」
カルテ:「死ね」
0:太刀筋の見えない一撃がギルド長アリシアの首にあたる
アルシア:「ん?」
0:緑の血を吹き出しながら倒れる体を見て
カルテ:「血迄汚れいるなんて救いようがないですね」
0:と、声を漏らしながら血を手で払うカルテ 数秒の沈黙が流れる
カルテ:「…で」
バンビ:「ん?」
ヴァン:「な~に?」
カルテ:「何って…ギルド長アリシアを殺した。あたしを殺さないんですか?」
バンビ:「【生きるのも死ぬのも殺すのも自由】」
ヴァン:「それが、私達気まぐれキラービーの鉄の掟よ~」
バンビ:「それよりも新人…出された料理は食べないのか?」
カルテ:「こんな残飯のような料理なんて」
0:バンビが机を壊す勢いの音をあげる
バンビ:「新人…それはよくない…よくないぞ」
0:そして、巨体を起こし手に大きな斧を持つ
バンビ:「マナーがなってない…マナーがなってないぞ!」
ヴァン:「バンビ!」
バンビ:「しかし、ヴァン」
ヴァン:「【同志での殺しは好まない】…それがギルド長アリシアの意向よ」
カルテ:「…何で、そんなに冷静なんですか?死んだんですよ?貴方達のギルド長は」
ヴァン:「だって、彼は」
アリシア:「やぁ、同志カルテ…痛いじゃあないか」
バンビ:「俺達が知るよりずっと前から死んでいるからな」
アリシア:「痛いのは許せるが…出された料理くらいは食べてほしいな」
0:立ち上がった体がカルテを触れ
カルテ:「ヒィ!」
0:転がっていた首がカルテに微笑みかけた

0:少々の間

アリシア:「さて…食事を食べたし本題に入ろうかな?」
カルテ:「うぷ」
バンビ:「それよりも長アリシア
アリシア:「何だい?」
バンビ:「新人の処遇はどうするつもりですか?」
アリシア:「無罪放免だ…分かり切っているだろう?」
ヴァン:「酷いお人よね~一思いに殺してあげればよいのに」
カルテ:「何故…ですか?」
アリシア:「君には資格からあるからだらよ…同志たる」
カルテ:「資格?」
ヴァン:「そこのミノタウロスのバンビが言ってたでしょ?生きるのも死ぬのも殺すのも自由」
バンビ:「裏切り、暗殺、毒殺、他殺、呪殺、圧殺なんでも歓迎」
アリシア:「ただそこに愛があるのなら…」
カルテ:「愛?」
アリシア:「君の殺しにも瞳にもその愛が宿っていたのだよ」
カルテ:「要領を…得ません」
アリシア:「同志カルテ…君は英雄ゴルドーの伝説を耳にした事があるかね?」
カルテ:「いえ…名前しか」
バンビ:「【堕落騎士ドル・ゴルドーゴルドーを疑われる と、言う名言を生んだ 時の人だ」
ヴァン:「かつて、あったリューネシア辺境国にいた騎士で 家督を継ぐ為に戦で名を挙げ 時の姫に召し抱えられた人よね~」
アリシア:「それよりも 特筆したるは、彼が主君を裏切り 城の兵を皆殺しにした事だよ」
カルテ:「皆殺し?」
バンビ:「その記録の代表作が、エルトン・エーカー作【孤軍の叫び】だ」
ヴァン:「とてもいい作品よ。ゴルドーが城門内に兵たちの屍の山を築く様は勇ましく美しいわ~」
カルテ:「何故…そんな事を?」
アリシア:「分からない…ただ、それは愛なのだと私は思っているよ」
アリシア:「大切なものたちが美しいままである為に、穢れる様を見るのを耐えれなかった。だから、彼は皆殺しにしたんだ」
ヴァン:「ちなみにその絵を見て、ドルゴーは裏切ってなかった と、主張する【守護鬼神ドル・ドルゴー】説派もいるわ」
カルテ:「は…はぁ」
バンビ:「余計なことを言うな。ヴァン…大切なのはどう受け止めるかだ。新人」
アリシア:「君の殺しには、彼を彷彿させるような愛に溢れていた!」
カルテ:「私はただ…気に食わなくて貴方を殺そう。と、しただけです」
アリシア:「その生物として純粋な気持ち」
アリシア:「そこに我らが目指す 歴史に残る英雄譚 が、ある!」
カルテ:「それが、貴方達が目指す 歴史に残る英雄譚」
アリシア:「しかし、堕落騎士ドル・ゴルドーを目指し戦った【セルミア紛争】では…それに足る戦果を残せなかった」
バンビ:「心中お察しする。我らが長アリシア
ヴァン:「あれは残念な事件だったわ~皆殺しを目指していたのに 思ったよりも生存者が多かったもの」
アリシア:「たくさんの他ギルドの妨害にもあい沢山の同志を失った」
アリシア:「ゆえに、次こそは成功させないといけない!我らの宿願を」
カルテ:「貴方たちは皆殺し…したいのですか?この世界を」
アリシア:「いや…正確には伝えたいのだ。我らの痛みを」
バンビ:「死を求め…血を求める 我らの痛みは永劫に理解されないだろう」
ヴァン:「なら、せめて私たちの 歴史に残る英雄譚 を、もって伝えよう」
アリシア:「我らの愛と…その痛みを」
カルテ:「我らの愛と…その痛み」
バンビ:「して、長アリシア 今回の何故招集を?」
アリシア:「あぁ、そうだったね…本題に入ろう」
アリシア:「近々、大劇団ノベルニア・テアトルで新作の演目がおろされる噂は聞いたかね?」
ヴァン:「噂程度なら」
アリシア:「その演目が堕落騎士ドル・ゴルドーにまつわる物だと聞いてねぇ…団員分のチケットを用意したのだよ」
0:百枚近くのチケットが束となって置かれる
カルテ:「こんなに」
バンビ:「お気使い感謝いたします。長アリシア
ヴァン:「キャー嬉しいわ。アリシア様」
ヴァン:「来ていな同志のチケットは責任を持って【常闇に潜む吸血鬼】と、謳われた私が配るわ」
アリシア:「ありがとう…同志ヴァン」
0:チケットを手に取るカルテ
カルテ:「貰っていいのか?…あたしも」
アリシア:「勿論だ!これからも君も同志なのだから」
カルテ:「けど」
アリシア:「迷いなさい…若き人狼血を受け継ぐ娘よ」
アリシア:「君が望むなら…ここで出来るだけ死に殺すといい」
カルテ:「同族を殺し続けて化け物と言われ続けた 私が」
アリシア:「君の思うがままに」
カルテ:「好きなだけ殺していいの?」
アリシア:「その全てを我ら 気まぐれキラービーが受け入れよう」
0:食堂に歓喜とも嘆きとも取れる全員の笑い声が木霊する
カルテ:「アリシアギルド長…あたしは貴方をいつか殺します!徹底的にあしの愛で!」
アリシア:「素晴らしい願望だ。その時が我らの宿願 歴史に残る英雄譚 である事を願っているよ」
アリシア:「同志カルテ…さぁ、行こうノベルニア・テアトルへ!」
バンビ:「同行いたします」
ヴァン:「カルテちゃんも楽しみよね~」
カルテ:「はい!堕落騎士を言われたドル・ゴルドーの偉業をこの目にしたいです!」
アリシア:「もし、気に入らない演目だったのなら…我らの言葉を持って穢そうじゃあないか!」
アリシア:「我らは気まぐれキラービー…同志達よ!死に場所を求めよ!」
0:巨大な大槌を手にしたアリシアは不敵に笑う

笑えなくなったら、その路地裏のジョーカーによろしく♪



語り手:「え?生きるのがダルいって?分かるよ、、、いやいや、冗談でなくだ」
語り手:「この世界は明るいところより日陰(ひかげ)が多すぎる」
語り手:「やれ、ギャンブルだのクスリだの遊びだの」
語り手:世の中、そんな罠のようなあまーい蜜(みつ)ばかり 
語り手:あんたもここに来たんなら、そんな蜜の被害者(ひがいしゃ)なんだろうよ、、、
語り手:なんだって?死にたい?、、、そうか、そんな死にたいなら
語り手:良い噂(うわさ)がある、、、この先を抜けると路地裏がある
語り手:そこのジョーカーなら君を殺してくれるだろう、、、


クスノキのアニキ:笑えなくなったら、その路地裏のジョーカーによろしく♪


タイキ:「ここが、、、路地裏 」
クスノキのアニキ:「おい!ナス!あのガキを探せ!」
ナス:「へい!」
語り手:その日の路地裏は騒(さわ)がしかった
タイキ:「早く逃げないと、、、!」
語り手:親を殺された少年タイキは
語り手:噂ささやかれる路地裏に逃げ込んでいた
タイキ:「はぁ、はぁ!」
クスノキのアニキ:「あんなガキでも、売りさばけば金になるだろうよ」
ナス:「流石(さすが)!クスノキのアニキはワルっす!」
タイキ:「はぁ、、、はぁ、、、」
語り手:タイキは薄汚いゴミ箱の中へ逃げ込む
クスノキのアニキ:「さて、、、そろそろ、追いかけっこは終わりだろ?出てこい!」
語り手:路地裏にこだまする声
ナス:「あれ?ここ、見たことない路地裏っすね」
クスノキのアニキ:「たしかに、、、この町の路地裏は、俺たちが駆け回ってきたはずだが」
ナス:「まさか、、、!?アニキ!ここやばいっすよ!」
クスノキのアニキ:「なんだよ?突然」
語り手:慌(あわ)てだす下っ端(したっぱ)
ナス:「おれ、、、聞いたことあるんよ」
ナス:「この町のどこかにジョーカーに通じる路地裏があるって、、、」
語り手:それを聞いた少年は小さく呟(つぶや)く
タイキ:「噂は、、、本当なんだ、、、」
クスノキのアニキ:「なんだ?その、、、ジョーカーってやつは?」
ナス:「この町で有名な都市伝説の殺人鬼っす!」
語り手:頭を叩かれるナス
クスノキのアニキ:「バカヤロー!てめぇは、何歳児だ?んなもん、いるわけねぇだろ!」
ナス:「ですよね〜」
ピエロ:「あの〜すいません」
クスノキのアニキ:「ん? 」
ナス:「何です?」
語り手:振り返った先には2m級のクマの着ぐるみがいた
クスノキのアニキ:「なんじゃこりゃー!?」
ナス:「ひぃぃぃぃ!」
ピエロ:「あぁ〜笑って欲しかったのに泣かせてしまった、、、すいませんね?」
クスノキのアニキ:「べべべ別に泣いてねぇぜ?」
ナス:「ああああっしらはワルですからね!」
語り手:動揺(どうよう)が隠(かく)せないふたり
ピエロ:「ワル?それは、人の泣いてるのを仕事にしてるんですかね?」
クスノキのアニキ:「まぁ、、、そんなもんだ」
ナス:「流石、アニキ!かっこいい!」
ピエロ:「はぁ〜、、、ダメっすよ?大の大人がそんなことしちゃあ 」
クスノキのアニキ:「あ?誰に口聞いてんだ?」
語り手:2人に不穏(ふおん)な空気が流れる
タイキ:「ダメだ!、、、あのひと、、、死んじゃう!」
語り手:クスノキから取り出される拳銃(けんじゅう)を
語り手:片手でひねるクマさん
クスノキのアニキ:「えぇーーー!?」
ピエロ:「あ!自分、路地裏の大道芸人(だいどうげんにん)目指してるピエロと言いまして」
ナス:「アニキの拳銃が飴細工(あめざいく)みたいに曲げられてる!?」
語り手:ゴミ箱の中で、空いた口の塞(ふさ)がらないタイキ
語り手:拳銃を投げ捨て上着を脱ぐクスノキ
クスノキのアニキ:「てめぇ、、、何者だ?ついでにどこ組だ?」
ピエロ:「えっと、あなたの涙(なみだ)を笑いに変えたい夢のクマさんピエロだよ〜?」
クスノキのアニキ:「国民的マスコットみたいなノリで挨拶するんじゃねぇ!」
ナス:「アニキのローキックが決まった!!」
語り手:路地裏に響く鈍(にぶ)い音
クスノキのアニキ:「ぎゃーーーー!!!」 
ナス:「アニキーー!」
ピエロ:「ちくしょう!こんな酷(ひど)いこと誰がしたんだ!?」
ナス:「おめぇだよ!?」
ピエロ:「え?握手会(あくしゅかい)してただけじゃないか」
クスノキのアニキ:「この!、、頭イカれたデクの棒が!」
ナス:「兄貴!とりあえず、逃げましょう!」
ピエロ:「あ!泣きたい時なんですね」
語り手:どこからか、ギターを取り出すピエロ
ピエロ:「1曲、、、聞いてきません?」
ナス:「聞いてくわけねぇだろ!?」
語り手:結果として、2人を路地裏から追い出したピエロ
ピエロ:「初デビューって、、、難しいんだな」
語り手:ゴミ箱から出てくる少年
タイキ:「あなたが、、、ジョーカーなんですか?」
語り手:その目線に答えるピエロ
ピエロ:「あんたの泣き顔を奪(うば)いに来たピエロって意味なら正解だぜ?」



語り手:路地裏を歩く巨大なクマと少年
ピエロ:「で?なんで、ここにいるんた?」
ピエロ:「ここは、ガキが来るような陽だまりの世界じゃないぜ?」
タイキ:「ガキガキ言うな!」
ピエロ:「まさか成人男子か!?すまんな、、、ジャパンは確かに背が低いと聞いたが、、、」
タイキ:「成長期じゃい!」
ピエロ:「そうか、、、そのまま、ビッグスターになれよ?」
タイキ:「ふざけてる!?」
語り手:まともに対応しないピエロにどなるタイキ
ピエロ:「そんなことはない、、、君の笑顔がみたいだけだ、、、多分」
タイキ:「多分いらないよね!?」
ピエロ:「半分くらいは正解だ!」
語り手:ため息を着くタイキ
タイキ:「もう、いいよ、、、あんたが、ジョーカーでなくて」
タイキ:「殺してくれないならここにいる意味ないから」
語り手:立ち去ろうとするタイキを
ピエロ:「まて、、、少年。なぜ、そんな死にたいんだ」
語り手:止めるピエロ
タイキ:「関係ないだろ? 」
ピエロ:「そんなことはない」
タイキ:「なんで?」
語り手:ピエロの指先が少年をロックオンする
ピエロ:「俺はお前を初めてのお客様に決めたんだ」
タイキ:「え?なんの? 」
ピエロ:「俺のデビュー記念の」
語り手:ため息を着くタイキ
タイキ:「変な人に好かれちゃった、、、人生最後なのに」
ピエロ:「失敬(しっけい)な!これでも、笑いの頂点を目指してるんだぜ?」
語り手:とても、無理そうに私も見える
ピエロ:「それに、、、縁起(えんぎ)でもないこと、言わないほうがいいぜ?」
ピエロ:「子供は親の傘(かさ)の下で、笑って夢見てればいいのさ!」
語り手:笑うピエロに
語り手:静かに答える少年
タイキ:「、、、もう、いないんだ。家族」
ピエロ:「はぁ?」
タイキ:「さっきの二人組のヤクザに殺されたんだ、、、」
ピエロ:「はぁ~ん、、、思った以上にワルだったんだなあの二人」
タイキ:「けど、、、あんな奴らにお金を借りた僕の両親が悪かったんだよ、、、」
語り手:疲(つか)れてその場に体育座りする少年
ピエロ:「なんだ?遊ぶための金を借りてたわけではないだろ?」
タイキ:「叶(かな)えたい夢のためにお金の借りて死んだんだ、、、それってバカだろ?」
語り手:タイキの頬(ほほ)をたたくピエロ
タイキ:「なんで!」
ピエロ:「お前と、、、お前の親が叩いて欲しかったからだな」
ピエロ:「遊んで破滅(はめつ)したなら、まだしも親の夢をバカにするんじゃねぇ、、、」
ピエロ:「まぁ、遊び癖がある親でも、、産み親だろうから、敬(うやま)えるなら敬うべきだけどな」
タイキ:「きれいごとだ!」
ピエロ:「そうだな、、、俺もこの路地裏にいると思うよ」
ピエロ:「世界は薄汚くて救いようがねぇ」
タイキ:「じゃあ、ほっといてくれよ!」
語り手:泣きそうな少年の頭に手をのせるピエロ
ピエロ:「そんな、世界を変えるのも大人だ、、、俺はお前の親がバカだとは思わない」
語り手:その手を払いのけ走り出すタイキ
ピエロ:「おい!少年!逃げ出しても誰も手を差し伸べてくれないぞ!」
語り手:光へと逃げ込む少年を、、、追いかけないクマの着ぐるみ
ピエロ:「、、、くだらないって、俺はわかっている。だからよ」
語り手:影へと溶け込むピエロ



語り手:いつの間にか振ってきた雨に
語り手:声を隠しながら走るタイキ
タイキ:「あいつに言われなくても、わかってるよ、、、家族が悪くないことも」
タイキ:「全部僕が悪いことも、、、」
タイキ:「僕がもし、あいつみたい強ければ家族が守れたってことも、、、」
タイキ:「だけどさ、、、僕は弱くて」
タイキ:「あいつみたいにバカにも、なれなかったんだよ」
語り手:行き先に見知った男と出会う



クスノキのアニキ:「わざわざそっちから出てくるとはいい度胸(どきょう)だぜ?」
語り手:タイキは路地裏の外でナスに捕まり
語り手:彼らの事務所に連れていかれていた
ナス:「アニキの言う通り、あのイカれた男の周りにいやした!」
ナス:「流石はアニキ!鼻がいいぜ!」
クスノキのアニキ:「だてに、この町の狼とは言われていないぜ?」
クスノキのアニキ:「運と金ってやつは、俺の隣に寝てるんだぜ?」
ナス:「さすが、アニキ!ワルっす!」
タイキ:「速く殺せよ、、、両親みたいに」
語り手:縛(しば)り付けられ青あざだらけの少年は答える
クスノキのアニキ:「ずいぶん、生意気でくだらないガキだぜ」
タイキ:「うるさい!お前らみたいな人殺し!、、、誰もゆるさない!」
語り手:二人の悪意の笑みがこだまする
クスノキのアニキ:「神様がゆるさないってか?」
ナス:「しょうもないっすね!そんなもんどこにもいやしない!」
語り手:拳銃を取り出すクスノキ
クスノキのアニキ:「ナスの言う通りだ、、、しょうもない」
クスノキのアニキ:「この世は所詮(しょせん)、、、悪い奴が悪いことして得する世の中なんだよ!」
語り手:悪意が少年を取り囲む
クスノキのアニキ:「安心しろ!どんなにつまらねぇお前でも、どこかの変態の蝋人形(ろうにんぎょう)くらいにはなれるだろうよ!」
ナス:「ひゃははははは」
タイキ:「うぅ~!」
語り手:悔(くや)しい思い怒(いか)り、、、悲しみ様々の思いが腹に込められ
語り手:少年の叫(さけ)びとなる
クスノキのアニキ:「、、、うるせぇガキだな。少しくらい穴をあけるか」
語り手:ケリ破られる事務所の扉の先に
ナス:「はぁ!?誰っすか!?」
ピエロ:「どうも、、、笑いの神様です」
語り手:一時停止の看板(かんばん)を抱えた巨体のクマの着ぐるみがいた
ピエロ:「お客様の涙によばれ、、、お前たちのくだらない笑いに、嫌気(いやけ)がさしたピエロ様ですよ~」
語り手:その登場に怒りの沸点(ふってん)が達する二人
ナス:「黙れ!いかれ野郎!!」
語り手:ナスが懐(ふとから)から取り出された拳銃
語り手:その早撃(はやうち)ちを看板で跳ね返す
ナス:「ひぃぃぃぃぃ!」
ピエロ:「種も仕掛けもありません」
語り手:ナスの髪をかすった銃弾は
語り手:そこにあった髪の毛を奪(うば)っていく
語り手:ピエロは懐から手鏡を取り出しナスに突きつける
ピエロ:「ほら、、、今のお前のほうが、笑える姿してるぜ?」
クスノキのアニキ:「てめぇ!」
語り手:拳銃を投げすてたクスノキが、ピエロに殴りかかる
クスノキのアニキ:「このイカれた化け物が!!人間様の町から出てけ!!」
ピエロ:「、、、そうだな。俺は怪物だ」
語り手:逃げずにその拳のすべてを、受け止めるピエロ
タイキ:「なんで、、、なんで、来たんだよ~バカ野郎」
語り手:涙でぬれた少年に周りのことなど気にせず答える
ピエロ:「ピエロはな、、、初めてのお客様の笑顔が見たいだけなのさ」
語り手:殴り殺すのをあきらめたクスノキ
クスノキのアニキ:「ちくしょう!、、、とっておきだ!シネ!!」
語り手:床から隠していたアサルトライフルを取り出し
語り手:すべての銃弾を打ち切る
タイキ:「ピエローーーーーー!!」
ナス:「あはは、、、これで、あの化け物もおわりっす!」
語り手:煙(けむり)が晴れた先に黒のスーツをまとった怪物がいた
語り手:顔はただれ、、、気持ち悪いが、そいつは迷うことなく
語り手:クスノキの腹を殴る
クスノキのアニキ:「ぐは!!」
ピエロ:「せっかくの一張羅(いっちょうら)が台無しだろ?クソガキ」
ナス:「クスノキのアニキー!」
ナス:「なんだよ!てめぇは!?」
語り手:静かに語りだすピエロ
ピエロ:「かつて、人に殺す怪異(かいい)として生み出された裏路地のジョーカーは」
ピエロ:「人しか殺せない妖怪に笑いを教わった」
ピエロ:「俺は、、、そいつを殺すために!あの路地裏の、、、笑いの神様になってやる!」
語り手:この世の悪意のふきだまり
語り手:そこには妖(あやかし)と怪物(かいぶつ)に実はあふれていた
クスノキのアニキ:「つまんねぇこと言ってんじゃねぇ!」
ピエロ:「そうだ、、、つまらない話だ、、、」
語り手:だから、、、私たちは時代と共に消えてきた
ピエロ:「だからよ、、、俺はそのルールを変えたいんだよ」
ナス:「何言ってんだ、、、こいつ?」
語り手:強く握りしめた拳
語り手:片手の看板を投げ捨て、、、二人へと立ち向かう
ピエロ:「人殺しの拳を!誰かの笑顔のために使ってやるんだ!!」
語り手:重い腹パンがクスノキをつらぬく
ピエロ:「この道は、、、誰にも邪魔(じゃま)させねぇ!!」
クスノキのアニキ:「ぐ、、、はぁ、、、、」
語り手:糸が切れたように倒れるクスノキ
ナス:「ひぃぃぃぃぃ!」
ピエロ:「この町で、、、俺が笑えねぇことをすんじゃねぇ、、、次は殺すぞ?」
語り手:逃げ出す下っ端を追わないピエロ
ピエロ:「おいおい、、、言い逃げっぷりだな?笑えるぜ?お前らのくだらない生き様」
語り手:少年の縄(なわ)をほどくピエロ
ピエロ:「よく頑張ったな、、、お前の両親も喜んでるぜ?」
語り手:少年は、、、ピエロの胸に抱きつく
ピエロ:「おいおい、、、怖くねぇのか?俺は化け物だぜ?」
語り手:泣き続ける少年を優しく抱き寄せる怪物
ピエロ:「まいっちまうな、、、お前の笑顔を見に来ただけなのによ、、、」
語り手:その日から一人の人殺しの怪異は、、、笑いの神様を目指す
語り手:そんなくだらない物語、、、
語り手:まっているわピエロ、、、私、口裂け女を殺してくれる日を、、、



語り手:知ってるかしら?人知れず語れる怪異を
語り手:笑えなくなったら、そこに飛び込むといい
語り手:きっと、笑えないあなたを彼が殺してくる
ピエロ:「泣いてどうしただい?俺?笑いの神様ピエロだよ~」
語り手:きっと、彼が笑顔で出迎(でむか)えてくる
ピエロ:「さて、、、何のようだい?お客様」
語り手:ようこそ、、、路地裏へ


0:世界が悪にあふれるなら、、、善意にだってあれてる

Marmalade jam(マーマレード ジャム)~さようなら 狼さん~ 二人向け 10分ほど

これはとある恋物語

さいごに引き金を引いたのは、、、誰なのだろうか?

役(4役) 狼と妹 先生と死神 を兼ね役するといいと思います

狼 とある狼の生き残り

妹 狼さんの妹

先生 作家

死神 若い頃の先生

台本本編:

先生:目を閉じると 今でも思い出す、、、
妹:「、、、先生?」
先生:懐(なつ)かしい あの三日間
妹:「先生!」
先生:「ん?、、、あぁ〜、、、寝ていたかな?、、、私は」
妹:「ぐっすりと、、、良く寝れますね こんな状況なのに」
先生:「若い頃は 銃声と悲鳴が鳴り響く洞穴(ほらあな)で寝ていたものだよ、、、おっと!興味無いかな?」
妹:「全然」
先生:「そうだよね、、、もう、少し待ってくれ そろそろ、この小説を書き終えるのだが、、、」
妹:「だが?」
先生:「タイトルと 結末が思いつかない、、、」
妹:「あなたなりの 命乞(いのちご)いですか?」
先生:「いやいや、本当の事だよ」
先生:「それに、死ぬのは怖くない、、、怖いのは」
妹:「怖いのは?」
先生:「私を殺す 君が 私を殺したと 勘違いすることだ」
妹:「呆(あき)れた言い草ですね、、、まるで、これから あなたは 私でない 誰かに殺さるような 言い方じゃないですか」
先生:「そうさ、、、私が私を殺すのだよ」
先生:「かつて、心の赴(おもむ)くままに 狼を狩り尽くした 死神が、、、自分に殺されるのさ」
妹:「今すぐ 死にたいですか?」
先生:「少し待ってくれ、、、あと少しで 思いつきそうなんだ、、、そうだ!」
妹:「、、、なんですか?」
先生:「読み聞かせるから 聞いてくれないかね? この私の 拙(つたな)いラブストーリーを」
妹:「、、、なんで」
先生:「君が、、、彼女の妹だからだよ」
先生:「君は知る権利がある、、、彼女の最後と それを看取(みと)った 死神の無様(ぶざま)な一生を」
先生:「そして、、、私の 彼女へのプロポーズの返事を聞く権利もある」



0:Marmalade jam(マーマレード ジャム)~さようなら 狼さん~


先生:家族を殺された、、、狼の一族に
先生:一族全員 1人残らず、、、残された 男は 狼ハンターとなった
先生:その血にまみれた 姿と容姿から 死神と 敵味方関係なく 恐れられた
先生:この世界じゃあ ありふれた話だ
先生:その日、、、狼たちが潜(ひそ)む 最後の集落へと赴いた 私は
先生:彼らを殺した、、、復讐のための 殺しは いつの間にか 呼吸となり
先生:私の心を蝕(むしば)んだ、、、終わりにしよう
先生:この仕事を終えたら 私は、、、死ぬつもりでいた
狼:「ララ〜♪」
先生:その 音痴(おんち)な狼と出会うまでは、、、
狼:「、、、あら?お客さんかしら?」
死神:「そう見えるのなら 君の目は節穴(ふしあな)だな、、、怖くないのか?死ぬのが」
狼:「怖くないわ」
死神:「なんで?」
狼:「だって、、、私は 狼だもの」
狼:「いつも 食べてる パンに怖がる 人間なんていないでしょ?」
死神:「確かにそうだな、、、だからこそ、君たちは死ぬんだ」
狼:「そうね、、、だからこそ、私たちは滅(ほろ)ぶの」
狼:「パンを食べずに 芋を食べるなり 色んな選択肢があったのにね?」
死神:「君は、、、」
狼:「ん?、、、私? ただの狼よ」
狼:「あなたが 殺してきた 愚(おろ)かな狼の最後の生き残り、、、」
死神:「、、、そうか」
先生:呼吸を整え、、、猟銃(りょうじゅう)を構える
狼:「だからね! 一つだけお願いがあるの」
死神:「お、、、お願い?」
狼:「三日だけ!三日だけ時間が欲しいの!」
死神:「、、、なぜ?」
狼:「あと少しで 書いてた歌が完成しそうなの!」
死神:「、、、歌?」
先生:そう言い 彼女は 散らかった部屋から 楽譜(がくふ)を取り出した
死神:「、、、君たちは これから滅(ほろ)びゆく一族だ なのに 君は いったい 誰のために歌を書く気だい?」
狼:「これは 私たちのための歌じゃない、、、これからを生きる人のための歌なの!」
死神:「冗談だろ?」
狼:「冗談か どうかは あなたが見定めたらいい、、、とびっきりの 傑作(けっさく)を書いてみせるわ」
死神:「駄作(ださく)の間違いじゃないか?」
先生:こうして、私たちの不思議な 三日間の共同生活は始まった



妹:「ダウト!」
先生:「ん?」
妹:「姉さんは 歌なんて作ったことないわ、、、あなたの妄想(もうそう)ね」
先生:「なるほど、、、やはりか」
妹:「何が なるほどなのよ」
先生:「君なら、、、いや、君だから 分かるだろ?」
妹:「何が?」
先生:「三日間、、、それだけの時間があれば 子供一人が逃げるのに 十分な時間だ」
妹:「、、、あなたは 姉さんが 私が逃げるための時間を稼(かせ)いでいた と、言いたいの?」
先生:「あぁ、、、そうだ」
妹:「そうして、あなたは、、、作れなかった 姉さんを殺した!」
先生:「それこそ 誤解だ、、、君の 姉さんは書ききったのだよ、、、歌を 」
妹:「え?」
先生:「拾ったばかりのウクレレで、、、君の姉さんは 歌を作りきったのだ」



死神:「驚いた、、、本当に作りきるとは、、、」
狼:「ね?、、、言ったでしょ?」
死神:「確かに 君は天才だ!、、、しかし」
狼:「どうしたの?」
死神:「この歌、、、誰が伝えるんだ?」
先生:当然の疑問が 口から零(こぼ)れる
狼:「これを伝えられる 人なんて 一人じゃない、、、ユーよ」
死神:「、、、冗談だろ?」
狼:「こんな時に 冗談なんて言わないわ、、、死に際よ?」
先生:二人の間には 机があった
先生:それは越えられない 私たちの大きな壁でもあった
先生:そこに 私は
死神:「君が、、、歌うべきだ」
先生:猟銃を置いた
狼:「ダメ、、、」
先生:しかし、それは 突き返された
死神:「どうしてだ!」
狼:「あなたには 生き残った後の世界がある、、、けど、私にはないわ」
死神:「俺にだってないさ! 君たちを殺すために生きてきたような 男に! 帰る場所なんてあるもんか!」
先生:私は 抑えていた 気持ちを吐き出す
先生:行き場のない 私たちは、、、いつの間にか 逃げ場のない 袋小路(ふくろこうじ)に立たされたのだ
先生:しかし、それでも 彼女は
狼:「大丈夫、、、」
先生:前を向いていた
狼:「あなたがいるわ!、、、きっと、あなたなら この歌を歌える」
死神:「なんで、、、」
狼:「ん?」
死神:「なんで、君は そんなに 私の事を信じられるんだ?」
先生:私は 震えた手で 猟銃を握(にぎ)りしめた
狼:「だって、あなたは 三日間も 私と 床(とこ)を共にした 仲間じゃない」
狼:「あなたしか いないわ 死神さん、、、みんなをよろしくね」
先生:そうして、あの日
先生:私は 初めて 大切な友に引き金を引いたのだ



妹:「嘘よ、、、」
先生:「どう、捉(とら)えるか 君次第だ、、、それを証明する 証拠はない」
妹:「嘘!」
先生:「あるのは、彼女が 残した 歌くらいだ、、、」
妹:「、、、その歌は?」
先生:「この引き出しの中にあるよ、、、もっとも、原本じゃないけどね」
妹:「原本は燃やしたの?」
先生:「渡したよ、、、彼女が信じた未来のために」
妹:「どこまで 人を馬鹿にしたら 気が済むの?」
先生:「君は、、、お姉さんの事を信じてないのかい?」
妹:「姉さんのことは 一番 私が知ってるわ!」
先生:「そうだろうね、、、なら、彼女の書いた 歌についても 分かるだろう?」
妹:「な、、、何がよ」
先生:「その歌はね、、、ラブソング、、、だったんだよ」
妹:「、、、そんな嘘で 気を引いたつもり?」
先生:「気になるなら 後で 目を通すといい、、、私が それに気づいたのは 二十年後だがね」
妹:「はぁ〜、、、」
先生:「死ぬことも出来なかった 当時の私は 自堕落(じだらく)な生活をしながら あの日の歌を 壊れかけのウクレレで弾いていた、、、ある時、そこを通りかかった 少女がいてね?」
先生:「私に、こう、、、言ったんだよ、、、それ、、、とっても 素敵なラブソングだねって」
妹:「冗談にしては よく出来た ストーリーね」
先生:「まったくだ!その時、やっと 私は気づいた」
先生:「私は 私を殺せなかったわけじゃない、、、私は 彼女に生かされていたのだと」
先生:「私が 弾かされていた 歌は! 彼女が 私に向けた ラブソングであり! 、、、これからの未来への!悲痛な願いを歌ったものなのだと!」
妹:「笑えてくるわ、、、そこまで語れると」
先生:「妄想の激しい老人だと 罵(ののし)っても構わないさ、、、だからこそ 私は書くことにした」
妹:「何を?」
先生:「彼女への返事だよ、、、しかし、私は 歌を作る 才能も無ければ 学(がく)もない」
先生:「そこで、とある古き友人に どうたら良いか 訊(たず)ねたら 良い返事を貰えた」
先生:「それ、、、小説にしろよ、、、と、ね」
妹:「浅(あさ)さかな考えだわ」
先生:「当時の 私は名案だと感銘(かんめい)した!」
先生:「そして、それを書き上げるために」
先生:「たくさん作品をしたためてきた!しかし、、、」
妹:「しかし?」
先生:「私には、、、書き上げる 力がなかった」
先生:「彼女のことを思うと 筆がのらず ずるずると 引きずり 生きてきて、、、今日という日を迎えた訳だ」
妹:「そう、、、なら、ここで 私が あなたを殺したら 完成しないのね?」
先生:「残念ながら そんな事にはならない、、、」
妹:「なぜ?」
先生:「完成したからだよ、、、題名は マーマレードジャム」
先生:「最後の言葉は、、、私は 君の その甘酸っぱい思いには答えられない、、、だ」
妹:「何を言ってるの?」
先生:「後は、君が書き上げるだけだ、、、私のゴーストライターさん」
妹:「、、、は?」
先生:「やっと、私の真意(しんい)に気づいたようだね、、、先生」
妹:「もしかして、、、あなたは!」
先生:「私はね、、、書ききれない この思いを 書かせることにしたのさ」
先生:「私よりも 彼女をよく知ってる、、、君にね」
妹:「あ、、、あんたは!」
妹:「姉だけじゃ 飽(あ)き足らず、、、私さえも 誑(たぶら)かすつもりか!」
先生:「君は 勘違いをしている、、、もし、この出会いが 誰かに仕組まれたものなら、、、多分」
先生:「君の 姉の仕業だ」
妹:「戯言(ざれごと)だぁ!」
先生:「あぁ、、、戯言だよ 老いぼれた 老人の」
先生:「だからこそ、お願いだ、、、妹さん」
先生:「この作品を世に出しておくれ、、、私の代わりに」
先生:「彼女と、私が、、、いつか、この世界を救う 架け橋となるために!」
妹:「、、、結局」
先生:「ん?」
妹:「結局 私は 意地悪(いじわる)な姉と 性格の悪い あなたに振り回された マリオネットなのね?」
先生:「、、、そんなことはない」
先生:「ここからが、君の物語だ」
先生:「君が 幸せになることで、、、彼女の理想は完成する」
妹:「どうかしらね」
先生:「なるさ、、、だって、君は こんなにも 愛されている のだから、、、ありがとう 妹さん」
先生:「私が 作品を書き上げるために 足りなかったもの、、、それは、彼女に愛し愛された、、、君だったのだよ」
先生:「私の妄想が 正しいのなら、、、ここまでが、、、私が 彼女に踊らされた 物語だ」
妹:「、、、他には」
先生:「ん?」
妹:「他には 言い残した ことはないの?あなたとして、、、」
先生:「、、、あぁ、そうだね」


先生:「さよなら、、、私の愛しい 狼さん」
先生:「君の人生が、、、幸せであることを 心から願っているよ」


0:私になりに 思い描いたラブストーリーが 誰かの心に届くことを願って

僕らの屋上の天使~彼女が教えてくれた 簡単に空を飛ぶ方法~ 4人向け台本 30分ほど

台本概要

息が苦しい 生きるのがつらい

そんな少年のとある物語

大空 彼方が屋上から飛び下りようとした事で

物語は動き出した

役(4役)

①大空 彼方 人生に生きづらさを感じていた

②風間 彩葉 不思議な雰囲気のある先輩

③万丈 努 少しイタイ先輩

④木下 神奈 部活では男として振舞う 女性の先輩

台本本編




大空 彼方:息が苦しい、、、
大空 彼方:人生が重い
大空 彼方:取り繕(つろ)ったように 笑う みんなと先生、、、狂ってる
大空 彼方:他人が嫌がる様を笑い、、、落としてめる
大空 彼方:いつ間にか 吸う空気ですら 重みを感じるようになっな
大空 彼方:こんな苦しい思いする くらいなら、いっそ
大空 彼方:僕らの 蒼山(あおやま)学院の屋上は 基本、立ち入り禁止
大空 彼方:僕は その扉を開けた
大空 彼方:心地よい風と 大きすぎるくらいのフェンス
大空 彼方:良い場所だ、、、死ぬなら
大空 彼方:フェンスを乗り越えるため 足をかけようとする
大空 彼方:一歩、、、一歩 乗り上げていく
大空 彼方:その途中で 体が重くなる
大空 彼方:土壇場(どたんば)で死ぬのが、怖くなったのかもしれない
大空 彼方:大きく踏み込もうとすると、、、僕は 地面に落とされていた
大空 彼方:「、、、え?」
大空 彼方:何も言わず 落とした人物は 僕の顔を覗き込む
大空 彼方:杖を持った、、、首に見たことの無い機械を付けた 女の子がいた
風間 彩葉:「やぁ、、、生きてるかい?」
大空 彼方:その言葉は 彼女の機械から発せられていた



大空 彼方:「えと、、、」
風間 彩葉:「風間 彩葉(かざま いろは)」
大空 彼方:「、、、え?」
風間 彩葉:「私の名前だよ、、、ここ蒼山学院の三年生だ、、、よろしく」
大空 彼方:「よ、、、よろしくお願いします」
風間 彩葉:「君は?」 
大空 彼方:「、、、へ?」
風間 彩葉:「君の名前だよ、、、まさか、名無し君とは 言うまいね?」
大空 彼方:「そんなつもりは!」
風間 彩葉:「なら、教えてくれないかな?、、、あぁ、声についてかい? 私は、生まれつき 喉に障害があってねぇ、、、」
風間 彩葉:「この機会は 私のコミュニケーションの手伝いをしてくれてるんだ」
大空 彼方:「な、、、なるほど、蒼山学院 一年 大空 彼方(おおぞら かなた)と、言います」
風間 彩葉:「なるほど、、、では、彼方くん」
大空 彼方:「、、、はい」
大空 彼方:私は唾(つば)を飲み込む
風間 彩葉:「君、、、屋上から飛ぶつもりだったね?」
大空 彼方:「はい、、、生きるのが 辛くて、、、息するのが だるくて」
風間 彩葉:「、、、分かるよ」
大空 彼方:「この空の向こう側に行けば、、、この灰色の世界も 何か変わる気がしたんです」
風間 彩葉:「なるほどね、、、なら 行こっか!」
大空 彼方:「え、、、どこへですか?」
風間 彩葉:「翼を探しに、、、必要でしょ?飛ぶのなら」
風間 彩葉:「この大空を 飛べるような 大きな翼が!」
大空 彼方:「、、、いや、僕は」
風間 彩葉:「行こう!、、、細かいことは 飛んでから考えようじゃないか!」
大空 彼方:こうして、僕は とても、弱弱しい 彼女の手に引かれて 屋上から連れ出される
大空 彼方:これは、、、彼女が教えてくれた 簡単に空を飛ぶ方法を知る物語だ


0:僕らの屋上の天使~彼女が教えてくれた 簡単に空を飛ぶ方法~


万丈 努:「、、、で?彩葉」
風間 彩葉:「ん?」
万丈 努:「この後輩は 誰かな?」
風間 彩葉:「あぁ〜!この子は 大空 彼方くんって いって」
万丈 努:「答えんでもいい!分かってるさ、、、この科学研究部の門を叩くもの は、、、すなわち 同士!」
万丈 努:「共に、科学の向こう側、、、心理の扉を開こうじゃないか!」
大空 彼方:「あ、、、あの〜」
風間 彩葉:「あ!気にしないで〜 彼は 万丈 努(ばんじょう つとむ) 私の幼なじみ」
万丈 努:「そう!我々は 幼なじみ!」
万丈 努:「運命の糸で 手繰(たぐ)り寄せられた ソウルフレンドなのだ!」
風間 彩葉:「こんな 感じの人だけど 基本、無害だから安心して」
大空 彼方:「いやいや!信用出来るとこが どこも無いんですが!?」
万丈 努:「まぁ、冗談はさておき、、、彩葉 この子 どうしたんだ? 拉致(らち)したのか?」
大空 彼方:「不穏なワード!」
風間 彩葉:「寝言は 寝てる時にしてよね、、、入部希望者だよ」
大空 彼方:「え!?」
万丈 努:「本人が 1番驚いてるが 大丈夫なのか?」
風間 彩葉:「学校の屋上で 空を見てた みたいだから、、、飛び方に悩んでるのかな?と」
大空 彼方:「いやいや!」
万丈 努:「なるほどな」
大空 彼方:「何が なるほど 何ですか!?」
万丈 努:「大空 彼方くん」
大空 彼方:「は、、、はい」
万丈 努:「君は、、、空が飛びたいかい? この苦しい世界から 解放されてみたいかね?」
大空 彼方:「ぼ、、、僕は」
万丈 努:「無理強いはしない、、、だが、もし 君が 本当に あの屋上から飛んでみたいのなら、、、協力しよう」
大空 彼方:「、、、え?停学とか 退学なりません?」
万丈 努:「そりゃあ、なるだろな?」
大空 彼方:「だ、、、だったら、皆さんが 僕のワガママに付き合う必要は!」
万丈 努:「おいおい!そんな 寂しい事 言わないで良いだろ!」
万丈 努:「空を飛ぶ事は、、、人類のロマンだ!」
万丈 努:「そのために 一時の青春が無くなろうとも どうでも良いだろ! なぁ?彩葉」
風間 彩葉:「努くんと 意見合わせるのは 嫌だけど 今回は 同意見だな」
万丈 努:「少しくらい 俺を甘やかしてもいいんだよ!?」
風間 彩葉:「す〜ぐ 調子に乗るじゃん」
万丈 努:「まぁ、よい、、、我々 科学研究部の秘密兵器を紹介しよう」
大空 彼方:「秘密兵器?」
万丈 努:「空を飛ぶための 計算は出来るが その道具作りは 俺には 出来ない、、、だが!」
万丈 努:「我々には この、、、職人 木下 神奈(きのした かんな)がいる!」
木下 神奈:「よし!いい子だ〜! 良い調子だぞ〜!」
大空 彼方:「、、、えと、このヘッドホンして 椅子を作っている 女子が?」
万丈 努:「うちの、、、匠だ」
大空 彼方:「帰ります」
万丈 努:「待て〜い!彼女 性格はアレだけど 実力は確かだから!」
大空 彼方:「あなたも 大概 性格凄いですけどね!?」
万丈 努:「おま!、、、俺 先輩よぉ?三年生よぉ?」
風間 彩葉:「威厳ないよね〜」
万丈 努:「追い打ちかけないで!」
木下 神奈:「ガヤガヤうるせぇ!何だ!」
万丈 努:「いや!聞いてくれよ 木下ちゃん とうとう、新入部員が!、、、こばぁ!?」
大空 彼方:「ば、、、万丈先輩が蹴り飛ばされた!?」
風間 彩葉:「あ!気をつけてね 彼方くん 神奈くんは 学内では 女の子 部室では 男の子として振舞ってるから」
木下 神奈:「おめぇは 何回言えば 覚えるじゃあ! 唐変木(とうへんぼく)!」
万丈 努:「止まるんじゃ、、、ねぇぞ!、、、その先に、、、俺はいるからな!」
大空 彼方:「丁重にお断りします」
風間 彩葉:「私も 努くん みたいに ドMな訳じゃないから、、、さ?」
万丈 努:「俺は ドMじゃないよ!?」
木下 神奈:「なら!HENTAIだな!」
万丈 努:「違う!、、、俺は紛うことなき」
大空 彼方:「変態ですね」
万丈 努:「い、、、彩葉!」
風間 彩葉:「大丈夫だよ〜 努くんのことは 幼なじみである 私がよく分かってるから」
万丈 努:「彩葉!」
風間 彩葉:「病院、、、行こうか?」
万丈 努:「滅びろ 世界〜〜!」
大空 彼方:「、、、世の中って、僕より 悲惨(ひさん)な人もいるんですね」
風間 彩葉:「でしょ?」
木下 神奈:「で?」
万丈 努:「ん?」
木下 神奈:「俺に何の用だ? せっかく、ハイテンションな 椅子作りを邪魔したんだ、、、よほど大事な事だろうな?」
万丈 努:「あ、、、当たり前だろ?」(ガクブル)
大空 彼方:「大丈夫かな、、、」
風間 彩葉:「屍は拾うからね〜!」
万丈 努:「せめて、助けてよぉ!」
木下 神奈:「でぇ!?」
万丈 努:「ヒィ!、、、あの〜、、、ほら、今回 新入部員が入りまして」
木下 神奈:「寝言は寝てから言えよ」
万丈 努:「みんな 俺への当たり それしかないの!?」
木下 神奈:「あぁん?」
万丈 努:「ヒィ!、、、その子のために、、、空を飛ぶ道具を作って欲しいんですよ」
木下 神奈:「、、、どこから」
万丈 努:「へ?」
木下 神奈:「その新入部員はどこから飛びたいわけ?」
万丈 努:「が、、、」
木下 神奈:「が?」
万丈 努:「学校からの屋上」
木下 神奈:「、、、はぁ〜!?馬鹿なじゃないの!?やれるわけ!」
風間 彩葉:「私、、、神奈くんが 新入部員の彼方くんのことを 飛ばしてる カッコイイ姿とか 見たいな〜」
木下 神奈:「しゃーー!!死ぬ気で挑め 野郎ども!」
木下 神奈:「開戦じゃー!!」
大空 彼方:「、、、えぇ〜?」
木下 神奈:「おい!」
大空 彼方:「、、、え?僕ですか?」
木下 神奈:「お前しかいないだろ!、、、名前は?」
大空 彼方:「大空 彼方です」
木下 神奈:「大空 彼方か、、、今日から お前は かなやん と呼ぶ!」
木下 神奈:「俺たちは 彩葉っちの 笑顔のため、、、飛ぶぞ!」
大空 彼方:「おおよそ 高校生から出てきそうにない ワード!」
木下 神奈:「とりあえず、万丈! 何を作るつもりだ?」
万丈 努:「ハンググライダーとか どうかな?」
木下 神奈:「確か飛ぶのに 免許とかいるんじゃないか?」
万丈 努:「青春は有限だしね〜」
木下 神奈:「たく!、、、しかし、みんながやる気 なら、やるしか なかろう」
大空 彼方:「い、、、いいんですか!?」
木下 神奈:「お前は 止めても飛ぶのであろ?」
大空 彼方:「そ、、、そりゃあ」
木下 神奈:「なら!やるなら 派手にだ!」
大空 彼方:「、、、 」(ゴクリ)
木下 神奈:「飛んでやろうぜ?後輩くん」
木下 神奈:「こんなクソッタレた世界からよぉ!」
大空 彼方:「あっ、、、!ちょっ!」
木下 神奈:「とりあえず、材料調達、、、その後、カラオケだぁ!」
大空 彼方:「カラオケ必要なんですか〜!?」
万丈 努:「、、、行ったな 今日の神奈は 台風のようだな」
風間 彩葉:「あれは 神奈くんなりの 後輩くん 嬉しいアピール だと、思うな」
万丈 努:「あいつが、そんな殊勝(しゅしょう)な 奴か?」
風間 彩葉:「それか、、、気を使ってくれたのかも」
万丈 努:「はぁ〜、、、よく出来た 後輩だよ」
風間 彩葉:「今日は暇?」
万丈 努:「帰宅くらいは 付き合うよ、、、てか」
風間 彩葉:「てか?」
万丈 努:「後輩くんの 歓迎会どうする?」
風間 彩葉:「今度、部室でやれば いいんじゃない?」



大空 彼方:僕は、彼らに引きずられる 形で ハンググライダー用の装備作りを始めた
大空 彼方:必要なのは グライダーとハーネス
大空 彼方:ハーネスを作ってる間に グライダーに必要な知識と計算は 万丈先輩がしてくれる


万丈 努:「、、、思ったより 順調だな」
木下 神奈:「そのペースなら 夏休み前に出来るんじゃね?」
大空 彼方:「す、、、凄いや」
木下 神奈:「ほら!呆(ほう)けてないで 手を動かせ!」
木下 神奈:「今日も 終わったら カラオケ行くぞ♪」
大空 彼方:「またですか!?」
木下 神奈:「嫌なのか!?」
大空 彼方:「いや、、、嫌でないですけど」
木下 神奈:「仕方ねぇ、、、ダメなら 唐変木を」
万丈 努:「彼方くん! お願いだ!俺を助けると思って!!」
大空 彼方:「うわぁ!しがみついて来て 何なんですか!?」
万丈 努:「俺は 勉学が好きなんだ、、、静かな理想的な環境が!」
大空 彼方:「えと、、、つまり?」
万丈 努:「俺は カラオケとか ゲーセンが苦手だ、、、皆で 遊ぶ時しか 行かない」
大空 彼方:「嘘ですよね!? かなり、意外!?」
万丈 努:「あんな 頭痛いとこいるよりは、部屋で 医学書読んでた 方が良いだろ?」
大空 彼方:「万丈先輩って、僕が 思ってたよりも 本の虫 だったんですね」
風間 彩葉:「頭だけは 良いからね〜」
木下 神奈:「言うだろ? バカと天才は紙一重だと」
万丈 努:「おま!、、、おまいう!?」
木下 神奈:「あぁ!?」
万丈 努:「ヒィ!」
大空 彼方:「神奈先輩! 僕が カラオケは付き合いますから!」
大空 彼方:「今は 万丈先輩を ボコボコにしないで あげてください」
万丈 努:「か、、、かなたきゅん!」
大空 彼方:「グライダーの設計図出来たら 煮る焼くなりしてください」
木下 神奈:「OK」
万丈 努:「絶望した!、、、俺は、こんな 俺に優しくない 世界に絶望したぁ!」
風間 彩葉:「それに関しては 努くんも悪いとこ あるけどね〜」
万丈 努:「ふ、、、天才は、、、いつの世も、理解されない 生き物さ」
木下 神奈:「行こうぜ かなやん、、、馬鹿は ほっといて」
大空 彼方:「そう、、、ですね 風間先輩! 明日も来ます!」
風間 彩葉:「またね〜、、、行っちゃったか」
万丈 努:「名残惜しいか?」
風間 彩葉:「少しね、、、」
万丈 努:「体の調子はどうだ?」
風間 彩葉:「悪い方、、、もしかしたら、夏休み前まで もたないかも」
万丈 努:「なら、急がないと!」
風間 彩葉:「だめ!、、、二人には この事は伝えないで 努くん」
万丈 努:「しかし!」
風間 彩葉:「彼方くんが部活に来てね、、、止まっていた 時間が動いた感じがするの」
万丈 努:「彩葉、、、」
風間 彩葉:「あの日、努くんに生かされてから 何でかな〜?みたいに 中途半端に生きてきた」
風間 彩葉:「けどね!やっと 見つけたの!、、、私が出来ること 皆に残せるもの」
万丈 努:「まだだ!きっと、、、きっと、何かあるはずだ!だから!」
風間 彩葉:「諦めんな、、、ありがとうね 私のためにたくさん頑張ってくれて、、、私は大丈夫だよ?努くん」
万丈 努:「嘘つけ〜!」
風間 彩葉:「、、、努くん?」
万丈 努:「お前が、、、お前が誰よりも 生きたいんじゃないのかよ!」
万丈 努:「なんで、そんな お前が、、、一番 諦めたような顔してんだよ!なぁ!?」
風間 彩葉:「努くん、、、」
万丈 努:「お願いだ、、、そんな 最後になる みたいな こと言わないでくれ、、、」
万丈 努:「俺は、まだ お前に」
風間 彩葉:「大丈夫だよ、、、私は ここにいるよ? 努くん」
万丈 努:「彩葉、、、やっぱりズルいよ、、、お前は」



木下 神奈:「さて!歌った 歌った!帰るぞ〜かなやん」
大空 彼方:「そう、、、ですね」
木下 神奈:「どうした? そんな、入部したての頃 みたいに モジモジして」
大空 彼方:「もうすぐ、飛べると思うと、、、不安と期待があって、、、!」
木下 神奈:「、、、なるほどね」
大空 彼方:「これも、先輩たちのおかげです!」
木下 神奈:「そうかも、しれないが、、、俺たちも かなやんに感謝してるだぜ?」
大空 彼方:「え?」
木下 神奈:「まぁ!小っ恥ずかしい話は あれだ、、、飛んでからしようぜ?」
大空 彼方:「飛べ、、、ますかね?」
木下 神奈:「飛べるさ、、、いや、飛ばしてやるよ! 俺たちが!」



万丈 努:「てなわけで、科学研究部 泊まり込み合宿したいと、思います」
木下 神奈:「唐突(とうとつ)だな」
風間 彩葉:「顧問の鈴木先生は?」
万丈 努:「有り難き言葉を 書いてもらってきた」
大空 彼方:「少年少女よ、、、大志を胸に、、、これ、怒られません?」
木下 神奈:「てか、達筆(たっぴつ)だな」
風間 彩葉:「鈴木先生 元書道部の顧問らしいよ」
木下 神奈:「なる〜」
万丈 努:「今回は 屋上で 星を観察する、、、と、言う名目で グライダーの制作を進める」
大空 彼方:「いろいろと大丈夫ですか?」
万丈 努:「合宿手続きは 終わらせたから 問題ない」
木下 神奈:「あんたの その行動力だけは 褒めるに値するよ」
万丈 努:「だろ?」
風間 彩葉:「あんまり 褒めると調子に乗るからダメよ〜?」
木下 神奈:「だな」
万丈 努:「そんな〜」
大空 彼方:「とりあえず、前日は 準備休みとして 部活動は お休みしますか?」
木下 神奈:「だな」
万丈 努:「俺!、、、この部活の部長 俺よ!?」
木下 神奈:「あぁ!?」
万丈 努:「態度の落差 半端なくない!? お天道様(てんとさま)もビックリよぉ!?」
木下 神奈:「今更だな、、、川流し しないだけ 優しいと、思え」
万丈 努:「俺の扱い 罪人と同レベルなの!?」
大空 彼方:「それは、さておき」
万丈 努:「おいてかないで!?」
大空 彼方:「皆で、合宿、、、楽しみです!」
木下 神奈:「、、、だな!」
風間 彩葉:「えぇ」
万丈 努:「、、、そうだな」


大空 彼方:時の流れは早く
大空 彼方:万丈先輩が持ってきた グライダーの設計図を元に制作を開始する
大空 彼方:色々なトラブルがあったが、、、だいたい、万丈先輩が 部室の床に転がることで 事件は解決した
大空 彼方:合宿当日、、、制作をだいたい終えた 僕らは 学校の屋上で 天体観測をしていた


木下 神奈:「今更、思うのだが、、、天体観測とは、科学研究部の研究対象になるのか?」
万丈 努:「それに対する 明確な回答を 俺は有している」
木下 神奈:「何だ?」
万丈 努:「細けぇことは どうでも いいんだよ♪」
木下 神奈:「、、、そうか」
万丈 努:「えと、、、神奈さんは なんで、今 拳 構えてるんです?」
木下 神奈:「少し目の前の バカがムカついてな?」
万丈 努:「そんな 軽いノリで殴らないで!?」
大空 彼方:「綺麗、、、ですね」
風間 彩葉:「だね」
万丈 努:「夏の星座が 良く見える 季節だからな!」
木下 神奈:「この お高そうな 望遠鏡は」
万丈 努:「俺の、、、相棒さ」
木下 神奈:「壊していい?」
万丈 努:「良いわけないじゃん!?バカなの!?」

大空 彼方:「あの〜 あの二人 また、プロレスしてますよ 大丈夫ですかね?」
風間 彩葉:「殺しは しないと思うよ?」
大空 彼方:「半殺しくらいは しそうですよね」
風間 彩葉:「確かにね〜、、、ねぇ、彼方くん」
大空 彼方:「何ですか 風間先輩」
風間 彩葉:「ありがとね?科学研究部に入ってくれて 努くん も 神奈くん も 君が来てから よく笑うようになった」
大空 彼方:「お礼を言いたいのは、、、俺の方ですよ」
風間 彩葉:「だからね!、、、彼方くん ここからは、私の我儘(わがまま)」
大空 彼方:「え?」
風間 彩葉:「飛んで、、、この屋上から」
風間 彩葉:「私が 見れなかった景色を見てきて」


大空 彼方:その日、以来、、、風間先輩の姿を見なくなった
大空 彼方:数日後、、、いや、グライダーが完成してから 知らされる
大空 彼方:風間先輩が、、、原因の不明の難病で
大空 彼方:いつ死んでも おかしくない状態だと



大空 彼方:「なんで、、、なんで、教えてくれなかったんですか!?万丈先輩!」
木下 神奈:「落ち着け かなやん、、、黙っていたのは、、、俺もだ」
大空 彼方:「そんな、、、」
万丈 努:「すまない 彼方くん、、、騙すような真似をして」
万丈 努:「ただ、彼女は君だけは覚えていて 欲しかったのだよ、、、元気であった ありのままの彼女を、、、」
大空 彼方:「会わせては、、、貰えないんですか?」
万丈 努:「すまない、、、彼女が望んでいない」
大空 彼方:「そんな、、、」
木下 神奈:「かなやん、、、」
大空 彼方:「、、、何ですか?」
木下 神奈:「飛ぼう 明日、、、登校時間を狙って」
万丈 努:「おいおい!目立つ所か 先生たちに止められるぞ!?」
大空 彼方:「神奈先輩?」
木下 神奈:「彩葉っちに、、、いや、風間のバカに見せてやろうぜ?」
木下 神奈:「俺たちは、、、こんなにも 力強く、、、飛べるんだって」


大空 彼方:空気が重い 呼吸が震える、、、目を開けると
大空 彼方:みんなが見えた、、、僕をバカにしてきた人々 僕を知らないような人々
大空 彼方:自然と、、、グライダーを握る手が 汗ばむ
木下 神奈:「かなやん!、、、とべぇ!!」
大空 彼方:後ろから 聞きなれた  先輩の声が響く
大空 彼方:蹴り破られそうな 扉を必死で塞いでいる 音がする
大空 彼方:僕はスタート位置へ戻り 落ち着いて 深呼吸する、、、そして、気がつく
大空 彼方:とても、ワクワクしている 自分に
大空 彼方:手作りの滑車台を乗り上げて
大空 彼方:僕は 空へ飛び出す
大空 彼方:重い最後の一歩は
風間 彩葉:「とべーーーーー!!彼方ーーー!!」
大空 彼方:いないはずの 先輩に背中を押された
大空 彼方:これが、僕らの学校生活の 黒歴史であり
大空 彼方:最高の青春だ



0:とある 夕食会
木下 神奈:「あれから、15年か、、、早いな」
大空 彼方:「神奈先輩とは よく会ってるから 特に そう感じますね」
木下 神奈:「だな、、、万丈 努、、、アイツは 良い奴だったよ」
万丈 努:「生きてるよ!人を勝手に殺すな!」
大空 彼方:「お元気そうで」
万丈 努:「そう見える? これでも、忙しいんだよ?新人医師って」
木下 神奈:「彩葉っち を、救えなかった分 沢山の人を救うんだろ?頑張れよ、、、出来なきゃ 殺してやる」
万丈 努:「君は 相変わらずだね!」
大空 彼方:「はは!けど、、、こうして、三人集まれて嬉しいです」
万丈 努:「、、、いんや、それは 違うな」
木下 神奈:「あぁ、、、そうだな」
大空 彼方:「え?」
万丈 努:「三人でなく、、、四人だろ?」
大空 彼方:「、、、そうでしたね すいません」
木下 神奈:「今度、間違えたら シバいてやるよ、、、万丈のついでに」
万丈 努:「僕は悪くないよねぇ!?」
大空 彼方:「ハハw」


大空 彼方:風間先輩、、、あれ以来も 僕達は楽しく過ごしています
大空 彼方:休みが合えば 集まって 空を飛んでいます
大空 彼方:スカイダイビングに バンジージャンプ、、、新たな 出会いに喜びを感じ生きています
大空 彼方:また、、、報告しに行きます 夢の中で
大空 彼方:あの日の 屋上で、、、あなたは、待っているから


風間 彩葉:「行こう!、、、細かいことは 飛んでから考えようじゃないか!」


0:目を通した 皆さんを喜ばせられたら本望です 作者より