危険生物かれん 気まぐれ 男性の声劇シナリオ置き場

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「気まぐれキラービーの英雄譚~堕落騎士ドル・ゴルドーへの思い~」

のべるぶのノベルニア向けに書いた台本です

他のライターさんの設定があるので大切に扱ってくれたら嬉しいです

 

「気まぐれキラービーの英雄譚~堕落騎士ドル・ゴルドーへの思い~」
推定10分程度
配役 四人 男性か女性かはイメージです 好きに演じてもらって構いません
アリシア 男性 神父姿の気まぐれキラービーのギルド長 ゾンビでもある
カルテ 女性 人狼の血筋を引く新人同志 頭にくると直ぐにキレて殺す癖がある
バンビ 男性 巨体なミノタウロス 本人なりの礼儀を重んじる同志
ヴァン 女性 ふくよかな男性の血を好む吸血鬼 好みで殺しをするため 気まぐれキラービーが居心地が良いが 他の裏ギルドと掛け持ちしていると噂が絶たない

0:ここはテルミア王国地下水道に隠された迷宮の奥地
0:そこに暗い仕事を生業としている 裏ギルドの集会場がある
アルシア:「あぁ…ゴルドー…我らが英雄ゴルドーよ!」
アルシア:「あなたが死んで、数刻の時が過ぎました」
アルシア:「私たちの声が聞こえていますか!?」
0:教会のような装飾の食堂にてその声が木霊となり響く
カルテ:「あぁ~…ギルド長アリシア?」
アルシア:「なんだね?新人同志カルテ」
カルテ:「あたしは、今日この殺し屋ギルド」
カルテ:「気まぐれキラービーの集会がある と、聞いたんだけど」
バンビ:「俺も聞いたな」
ヴァン:「私も~」
アルシア:「その通りだ…同志たちよ!このテルミア拠点にある【気まぐれキラービーの大食堂】に良く集まってくれた!」
カルテ:「…集まり悪くないです?」
0:空席の目立つ大きな食堂に皆が顔を合わせる
バンビ:「いつもの事だ」
ヴァン:「いつもの事じゃ~ん?」
バンビ:「その理由も分かり切っている」
0:カルテは目の前に置かれた フルコースを見て顔をしかめる
カルテ:「ギルド長…この料理は」
アルシア:「厳選されたベルクイハムシのスープだ…美味しそうであろう?」
バンビ:「ちなみにこれは?」
アルシア:「貴重なトゲアリトゲナシのベルクイムシモドキの肉を使ったパイだ」
ヴァン:「ねぇ…これって」
アルシア:「いつも、おかずに出しているベルクイトゲアリハムシの素揚げだ。美味しいぞ」
カルテ:「どうして、昆虫フルコースなんですか!」
0:机をたたき大きな音を立てるカルテ
アリシア:「…今時の若い子は気が短いのかな?同志ヴァン」
ヴァン:「ん?そんな事はないと思うよ~お姉さんもこんな料理がデートに出されたら怒って帰っちゃうもの」
バンビ:「バリバリ…そうか?味は…悪くないぞ」
カルテ:「えぇ~…」
ヴァン:「アリシア様。血のワインはあるかしら?」
アリシア:「安心したまえ。昨日、殺した【セルシア王国】のまるまる太った商人の生き血で作ったワインがここにある」
ヴァン:「キャー!ギルド長イケメン」
0:受け取ったグラスのワインを愛おしげに眺めるヴァン
カルテ:「セルシア王国の商人…紛争問題になりませんか?」
アリシア:「匙なことだ…もし、そうなるなら」
カルテ:「なるなら?」
アリシア:「その時が…我らが【歴史に残る英雄譚】となる時だ」
カルテ:「【歴史に残る英雄譚】」
バンビ:「ん?ギルド加入時に説明されなかったのか?」
カルテ:「紹介人のパテストさんには【死にたいならここに入れ】と紹介されただけなので」
ヴァン:「あのピエロ野郎の紹介ね~」
バンビ:「なら、仕方あるまい…彼奴は大事なところを話忘れる癖があるからな」
アリシア:「こらこら…愚痴りたくなるだろうが、私の前で同志パテスト悪口はよしてくれ」
バンビ:「そうであったな…すまない」
アリシア:「分かればよいのだ…同志カルテ」
カルテ:「は…はい」
アリシア:「君にとっての【歴史に残る英雄譚】とは何だね?」
カルテ:「あたしに…とって」
0:言い淀むカルテ
アリシア:「素直に答えでいい」
カルテ:「思い…つきません」
カルテ:「少なくても、あたしが知るこの世界は薄汚れた欲望を腹に抱えた獣たちだけが幸せになる」
カルテ:「そんな世界です」
アリシア:「そうか…知見が狭いのだね?」
カルテ:「は…はぁあ!?」
ヴァン:「あら~不味くない?」
バンビ:「それこそいつもの事だ」
アルシア:「恥じる事はない…このギルドで沢山知見を広めると」
カルテ:「死ね」
0:太刀筋の見えない一撃がギルド長アリシアの首にあたる
アルシア:「ん?」
0:緑の血を吹き出しながら倒れる体を見て
カルテ:「血迄汚れいるなんて救いようがないですね」
0:と、声を漏らしながら血を手で払うカルテ 数秒の沈黙が流れる
カルテ:「…で」
バンビ:「ん?」
ヴァン:「な~に?」
カルテ:「何って…ギルド長アリシアを殺した。あたしを殺さないんですか?」
バンビ:「【生きるのも死ぬのも殺すのも自由】」
ヴァン:「それが、私達気まぐれキラービーの鉄の掟よ~」
バンビ:「それよりも新人…出された料理は食べないのか?」
カルテ:「こんな残飯のような料理なんて」
0:バンビが机を壊す勢いの音をあげる
バンビ:「新人…それはよくない…よくないぞ」
0:そして、巨体を起こし手に大きな斧を持つ
バンビ:「マナーがなってない…マナーがなってないぞ!」
ヴァン:「バンビ!」
バンビ:「しかし、ヴァン」
ヴァン:「【同志での殺しは好まない】…それがギルド長アリシアの意向よ」
カルテ:「…何で、そんなに冷静なんですか?死んだんですよ?貴方達のギルド長は」
ヴァン:「だって、彼は」
アリシア:「やぁ、同志カルテ…痛いじゃあないか」
バンビ:「俺達が知るよりずっと前から死んでいるからな」
アリシア:「痛いのは許せるが…出された料理くらいは食べてほしいな」
0:立ち上がった体がカルテを触れ
カルテ:「ヒィ!」
0:転がっていた首がカルテに微笑みかけた

0:少々の間

アリシア:「さて…食事を食べたし本題に入ろうかな?」
カルテ:「うぷ」
バンビ:「それよりも長アリシア
アリシア:「何だい?」
バンビ:「新人の処遇はどうするつもりですか?」
アリシア:「無罪放免だ…分かり切っているだろう?」
ヴァン:「酷いお人よね~一思いに殺してあげればよいのに」
カルテ:「何故…ですか?」
アリシア:「君には資格からあるからだらよ…同志たる」
カルテ:「資格?」
ヴァン:「そこのミノタウロスのバンビが言ってたでしょ?生きるのも死ぬのも殺すのも自由」
バンビ:「裏切り、暗殺、毒殺、他殺、呪殺、圧殺なんでも歓迎」
アリシア:「ただそこに愛があるのなら…」
カルテ:「愛?」
アリシア:「君の殺しにも瞳にもその愛が宿っていたのだよ」
カルテ:「要領を…得ません」
アリシア:「同志カルテ…君は英雄ゴルドーの伝説を耳にした事があるかね?」
カルテ:「いえ…名前しか」
バンビ:「【堕落騎士ドル・ゴルドーゴルドーを疑われる と、言う名言を生んだ 時の人だ」
ヴァン:「かつて、あったリューネシア辺境国にいた騎士で 家督を継ぐ為に戦で名を挙げ 時の姫に召し抱えられた人よね~」
アリシア:「それよりも 特筆したるは、彼が主君を裏切り 城の兵を皆殺しにした事だよ」
カルテ:「皆殺し?」
バンビ:「その記録の代表作が、エルトン・エーカー作【孤軍の叫び】だ」
ヴァン:「とてもいい作品よ。ゴルドーが城門内に兵たちの屍の山を築く様は勇ましく美しいわ~」
カルテ:「何故…そんな事を?」
アリシア:「分からない…ただ、それは愛なのだと私は思っているよ」
アリシア:「大切なものたちが美しいままである為に、穢れる様を見るのを耐えれなかった。だから、彼は皆殺しにしたんだ」
ヴァン:「ちなみにその絵を見て、ドルゴーは裏切ってなかった と、主張する【守護鬼神ドル・ドルゴー】説派もいるわ」
カルテ:「は…はぁ」
バンビ:「余計なことを言うな。ヴァン…大切なのはどう受け止めるかだ。新人」
アリシア:「君の殺しには、彼を彷彿させるような愛に溢れていた!」
カルテ:「私はただ…気に食わなくて貴方を殺そう。と、しただけです」
アリシア:「その生物として純粋な気持ち」
アリシア:「そこに我らが目指す 歴史に残る英雄譚 が、ある!」
カルテ:「それが、貴方達が目指す 歴史に残る英雄譚」
アリシア:「しかし、堕落騎士ドル・ゴルドーを目指し戦った【セルミア紛争】では…それに足る戦果を残せなかった」
バンビ:「心中お察しする。我らが長アリシア
ヴァン:「あれは残念な事件だったわ~皆殺しを目指していたのに 思ったよりも生存者が多かったもの」
アリシア:「たくさんの他ギルドの妨害にもあい沢山の同志を失った」
アリシア:「ゆえに、次こそは成功させないといけない!我らの宿願を」
カルテ:「貴方たちは皆殺し…したいのですか?この世界を」
アリシア:「いや…正確には伝えたいのだ。我らの痛みを」
バンビ:「死を求め…血を求める 我らの痛みは永劫に理解されないだろう」
ヴァン:「なら、せめて私たちの 歴史に残る英雄譚 を、もって伝えよう」
アリシア:「我らの愛と…その痛みを」
カルテ:「我らの愛と…その痛み」
バンビ:「して、長アリシア 今回の何故招集を?」
アリシア:「あぁ、そうだったね…本題に入ろう」
アリシア:「近々、大劇団ノベルニア・テアトルで新作の演目がおろされる噂は聞いたかね?」
ヴァン:「噂程度なら」
アリシア:「その演目が堕落騎士ドル・ゴルドーにまつわる物だと聞いてねぇ…団員分のチケットを用意したのだよ」
0:百枚近くのチケットが束となって置かれる
カルテ:「こんなに」
バンビ:「お気使い感謝いたします。長アリシア
ヴァン:「キャー嬉しいわ。アリシア様」
ヴァン:「来ていな同志のチケットは責任を持って【常闇に潜む吸血鬼】と、謳われた私が配るわ」
アリシア:「ありがとう…同志ヴァン」
0:チケットを手に取るカルテ
カルテ:「貰っていいのか?…あたしも」
アリシア:「勿論だ!これからも君も同志なのだから」
カルテ:「けど」
アリシア:「迷いなさい…若き人狼血を受け継ぐ娘よ」
アリシア:「君が望むなら…ここで出来るだけ死に殺すといい」
カルテ:「同族を殺し続けて化け物と言われ続けた 私が」
アリシア:「君の思うがままに」
カルテ:「好きなだけ殺していいの?」
アリシア:「その全てを我ら 気まぐれキラービーが受け入れよう」
0:食堂に歓喜とも嘆きとも取れる全員の笑い声が木霊する
カルテ:「アリシアギルド長…あたしは貴方をいつか殺します!徹底的にあしの愛で!」
アリシア:「素晴らしい願望だ。その時が我らの宿願 歴史に残る英雄譚 である事を願っているよ」
アリシア:「同志カルテ…さぁ、行こうノベルニア・テアトルへ!」
バンビ:「同行いたします」
ヴァン:「カルテちゃんも楽しみよね~」
カルテ:「はい!堕落騎士を言われたドル・ゴルドーの偉業をこの目にしたいです!」
アリシア:「もし、気に入らない演目だったのなら…我らの言葉を持って穢そうじゃあないか!」
アリシア:「我らは気まぐれキラービー…同志達よ!死に場所を求めよ!」
0:巨大な大槌を手にしたアリシアは不敵に笑う