危険生物かれん 気まぐれ 男性の声劇シナリオ置き場

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笑えなくなったら、その路地裏のジョーカーによろしく♪



語り手:「え?生きるのがダルいって?分かるよ、、、いやいや、冗談でなくだ」
語り手:「この世界は明るいところより日陰(ひかげ)が多すぎる」
語り手:「やれ、ギャンブルだのクスリだの遊びだの」
語り手:世の中、そんな罠のようなあまーい蜜(みつ)ばかり 
語り手:あんたもここに来たんなら、そんな蜜の被害者(ひがいしゃ)なんだろうよ、、、
語り手:なんだって?死にたい?、、、そうか、そんな死にたいなら
語り手:良い噂(うわさ)がある、、、この先を抜けると路地裏がある
語り手:そこのジョーカーなら君を殺してくれるだろう、、、


クスノキのアニキ:笑えなくなったら、その路地裏のジョーカーによろしく♪


タイキ:「ここが、、、路地裏 」
クスノキのアニキ:「おい!ナス!あのガキを探せ!」
ナス:「へい!」
語り手:その日の路地裏は騒(さわ)がしかった
タイキ:「早く逃げないと、、、!」
語り手:親を殺された少年タイキは
語り手:噂ささやかれる路地裏に逃げ込んでいた
タイキ:「はぁ、はぁ!」
クスノキのアニキ:「あんなガキでも、売りさばけば金になるだろうよ」
ナス:「流石(さすが)!クスノキのアニキはワルっす!」
タイキ:「はぁ、、、はぁ、、、」
語り手:タイキは薄汚いゴミ箱の中へ逃げ込む
クスノキのアニキ:「さて、、、そろそろ、追いかけっこは終わりだろ?出てこい!」
語り手:路地裏にこだまする声
ナス:「あれ?ここ、見たことない路地裏っすね」
クスノキのアニキ:「たしかに、、、この町の路地裏は、俺たちが駆け回ってきたはずだが」
ナス:「まさか、、、!?アニキ!ここやばいっすよ!」
クスノキのアニキ:「なんだよ?突然」
語り手:慌(あわ)てだす下っ端(したっぱ)
ナス:「おれ、、、聞いたことあるんよ」
ナス:「この町のどこかにジョーカーに通じる路地裏があるって、、、」
語り手:それを聞いた少年は小さく呟(つぶや)く
タイキ:「噂は、、、本当なんだ、、、」
クスノキのアニキ:「なんだ?その、、、ジョーカーってやつは?」
ナス:「この町で有名な都市伝説の殺人鬼っす!」
語り手:頭を叩かれるナス
クスノキのアニキ:「バカヤロー!てめぇは、何歳児だ?んなもん、いるわけねぇだろ!」
ナス:「ですよね〜」
ピエロ:「あの〜すいません」
クスノキのアニキ:「ん? 」
ナス:「何です?」
語り手:振り返った先には2m級のクマの着ぐるみがいた
クスノキのアニキ:「なんじゃこりゃー!?」
ナス:「ひぃぃぃぃ!」
ピエロ:「あぁ〜笑って欲しかったのに泣かせてしまった、、、すいませんね?」
クスノキのアニキ:「べべべ別に泣いてねぇぜ?」
ナス:「ああああっしらはワルですからね!」
語り手:動揺(どうよう)が隠(かく)せないふたり
ピエロ:「ワル?それは、人の泣いてるのを仕事にしてるんですかね?」
クスノキのアニキ:「まぁ、、、そんなもんだ」
ナス:「流石、アニキ!かっこいい!」
ピエロ:「はぁ〜、、、ダメっすよ?大の大人がそんなことしちゃあ 」
クスノキのアニキ:「あ?誰に口聞いてんだ?」
語り手:2人に不穏(ふおん)な空気が流れる
タイキ:「ダメだ!、、、あのひと、、、死んじゃう!」
語り手:クスノキから取り出される拳銃(けんじゅう)を
語り手:片手でひねるクマさん
クスノキのアニキ:「えぇーーー!?」
ピエロ:「あ!自分、路地裏の大道芸人(だいどうげんにん)目指してるピエロと言いまして」
ナス:「アニキの拳銃が飴細工(あめざいく)みたいに曲げられてる!?」
語り手:ゴミ箱の中で、空いた口の塞(ふさ)がらないタイキ
語り手:拳銃を投げ捨て上着を脱ぐクスノキ
クスノキのアニキ:「てめぇ、、、何者だ?ついでにどこ組だ?」
ピエロ:「えっと、あなたの涙(なみだ)を笑いに変えたい夢のクマさんピエロだよ〜?」
クスノキのアニキ:「国民的マスコットみたいなノリで挨拶するんじゃねぇ!」
ナス:「アニキのローキックが決まった!!」
語り手:路地裏に響く鈍(にぶ)い音
クスノキのアニキ:「ぎゃーーーー!!!」 
ナス:「アニキーー!」
ピエロ:「ちくしょう!こんな酷(ひど)いこと誰がしたんだ!?」
ナス:「おめぇだよ!?」
ピエロ:「え?握手会(あくしゅかい)してただけじゃないか」
クスノキのアニキ:「この!、、頭イカれたデクの棒が!」
ナス:「兄貴!とりあえず、逃げましょう!」
ピエロ:「あ!泣きたい時なんですね」
語り手:どこからか、ギターを取り出すピエロ
ピエロ:「1曲、、、聞いてきません?」
ナス:「聞いてくわけねぇだろ!?」
語り手:結果として、2人を路地裏から追い出したピエロ
ピエロ:「初デビューって、、、難しいんだな」
語り手:ゴミ箱から出てくる少年
タイキ:「あなたが、、、ジョーカーなんですか?」
語り手:その目線に答えるピエロ
ピエロ:「あんたの泣き顔を奪(うば)いに来たピエロって意味なら正解だぜ?」



語り手:路地裏を歩く巨大なクマと少年
ピエロ:「で?なんで、ここにいるんた?」
ピエロ:「ここは、ガキが来るような陽だまりの世界じゃないぜ?」
タイキ:「ガキガキ言うな!」
ピエロ:「まさか成人男子か!?すまんな、、、ジャパンは確かに背が低いと聞いたが、、、」
タイキ:「成長期じゃい!」
ピエロ:「そうか、、、そのまま、ビッグスターになれよ?」
タイキ:「ふざけてる!?」
語り手:まともに対応しないピエロにどなるタイキ
ピエロ:「そんなことはない、、、君の笑顔がみたいだけだ、、、多分」
タイキ:「多分いらないよね!?」
ピエロ:「半分くらいは正解だ!」
語り手:ため息を着くタイキ
タイキ:「もう、いいよ、、、あんたが、ジョーカーでなくて」
タイキ:「殺してくれないならここにいる意味ないから」
語り手:立ち去ろうとするタイキを
ピエロ:「まて、、、少年。なぜ、そんな死にたいんだ」
語り手:止めるピエロ
タイキ:「関係ないだろ? 」
ピエロ:「そんなことはない」
タイキ:「なんで?」
語り手:ピエロの指先が少年をロックオンする
ピエロ:「俺はお前を初めてのお客様に決めたんだ」
タイキ:「え?なんの? 」
ピエロ:「俺のデビュー記念の」
語り手:ため息を着くタイキ
タイキ:「変な人に好かれちゃった、、、人生最後なのに」
ピエロ:「失敬(しっけい)な!これでも、笑いの頂点を目指してるんだぜ?」
語り手:とても、無理そうに私も見える
ピエロ:「それに、、、縁起(えんぎ)でもないこと、言わないほうがいいぜ?」
ピエロ:「子供は親の傘(かさ)の下で、笑って夢見てればいいのさ!」
語り手:笑うピエロに
語り手:静かに答える少年
タイキ:「、、、もう、いないんだ。家族」
ピエロ:「はぁ?」
タイキ:「さっきの二人組のヤクザに殺されたんだ、、、」
ピエロ:「はぁ~ん、、、思った以上にワルだったんだなあの二人」
タイキ:「けど、、、あんな奴らにお金を借りた僕の両親が悪かったんだよ、、、」
語り手:疲(つか)れてその場に体育座りする少年
ピエロ:「なんだ?遊ぶための金を借りてたわけではないだろ?」
タイキ:「叶(かな)えたい夢のためにお金の借りて死んだんだ、、、それってバカだろ?」
語り手:タイキの頬(ほほ)をたたくピエロ
タイキ:「なんで!」
ピエロ:「お前と、、、お前の親が叩いて欲しかったからだな」
ピエロ:「遊んで破滅(はめつ)したなら、まだしも親の夢をバカにするんじゃねぇ、、、」
ピエロ:「まぁ、遊び癖がある親でも、、産み親だろうから、敬(うやま)えるなら敬うべきだけどな」
タイキ:「きれいごとだ!」
ピエロ:「そうだな、、、俺もこの路地裏にいると思うよ」
ピエロ:「世界は薄汚くて救いようがねぇ」
タイキ:「じゃあ、ほっといてくれよ!」
語り手:泣きそうな少年の頭に手をのせるピエロ
ピエロ:「そんな、世界を変えるのも大人だ、、、俺はお前の親がバカだとは思わない」
語り手:その手を払いのけ走り出すタイキ
ピエロ:「おい!少年!逃げ出しても誰も手を差し伸べてくれないぞ!」
語り手:光へと逃げ込む少年を、、、追いかけないクマの着ぐるみ
ピエロ:「、、、くだらないって、俺はわかっている。だからよ」
語り手:影へと溶け込むピエロ



語り手:いつの間にか振ってきた雨に
語り手:声を隠しながら走るタイキ
タイキ:「あいつに言われなくても、わかってるよ、、、家族が悪くないことも」
タイキ:「全部僕が悪いことも、、、」
タイキ:「僕がもし、あいつみたい強ければ家族が守れたってことも、、、」
タイキ:「だけどさ、、、僕は弱くて」
タイキ:「あいつみたいにバカにも、なれなかったんだよ」
語り手:行き先に見知った男と出会う



クスノキのアニキ:「わざわざそっちから出てくるとはいい度胸(どきょう)だぜ?」
語り手:タイキは路地裏の外でナスに捕まり
語り手:彼らの事務所に連れていかれていた
ナス:「アニキの言う通り、あのイカれた男の周りにいやした!」
ナス:「流石はアニキ!鼻がいいぜ!」
クスノキのアニキ:「だてに、この町の狼とは言われていないぜ?」
クスノキのアニキ:「運と金ってやつは、俺の隣に寝てるんだぜ?」
ナス:「さすが、アニキ!ワルっす!」
タイキ:「速く殺せよ、、、両親みたいに」
語り手:縛(しば)り付けられ青あざだらけの少年は答える
クスノキのアニキ:「ずいぶん、生意気でくだらないガキだぜ」
タイキ:「うるさい!お前らみたいな人殺し!、、、誰もゆるさない!」
語り手:二人の悪意の笑みがこだまする
クスノキのアニキ:「神様がゆるさないってか?」
ナス:「しょうもないっすね!そんなもんどこにもいやしない!」
語り手:拳銃を取り出すクスノキ
クスノキのアニキ:「ナスの言う通りだ、、、しょうもない」
クスノキのアニキ:「この世は所詮(しょせん)、、、悪い奴が悪いことして得する世の中なんだよ!」
語り手:悪意が少年を取り囲む
クスノキのアニキ:「安心しろ!どんなにつまらねぇお前でも、どこかの変態の蝋人形(ろうにんぎょう)くらいにはなれるだろうよ!」
ナス:「ひゃははははは」
タイキ:「うぅ~!」
語り手:悔(くや)しい思い怒(いか)り、、、悲しみ様々の思いが腹に込められ
語り手:少年の叫(さけ)びとなる
クスノキのアニキ:「、、、うるせぇガキだな。少しくらい穴をあけるか」
語り手:ケリ破られる事務所の扉の先に
ナス:「はぁ!?誰っすか!?」
ピエロ:「どうも、、、笑いの神様です」
語り手:一時停止の看板(かんばん)を抱えた巨体のクマの着ぐるみがいた
ピエロ:「お客様の涙によばれ、、、お前たちのくだらない笑いに、嫌気(いやけ)がさしたピエロ様ですよ~」
語り手:その登場に怒りの沸点(ふってん)が達する二人
ナス:「黙れ!いかれ野郎!!」
語り手:ナスが懐(ふとから)から取り出された拳銃
語り手:その早撃(はやうち)ちを看板で跳ね返す
ナス:「ひぃぃぃぃぃ!」
ピエロ:「種も仕掛けもありません」
語り手:ナスの髪をかすった銃弾は
語り手:そこにあった髪の毛を奪(うば)っていく
語り手:ピエロは懐から手鏡を取り出しナスに突きつける
ピエロ:「ほら、、、今のお前のほうが、笑える姿してるぜ?」
クスノキのアニキ:「てめぇ!」
語り手:拳銃を投げすてたクスノキが、ピエロに殴りかかる
クスノキのアニキ:「このイカれた化け物が!!人間様の町から出てけ!!」
ピエロ:「、、、そうだな。俺は怪物だ」
語り手:逃げずにその拳のすべてを、受け止めるピエロ
タイキ:「なんで、、、なんで、来たんだよ~バカ野郎」
語り手:涙でぬれた少年に周りのことなど気にせず答える
ピエロ:「ピエロはな、、、初めてのお客様の笑顔が見たいだけなのさ」
語り手:殴り殺すのをあきらめたクスノキ
クスノキのアニキ:「ちくしょう!、、、とっておきだ!シネ!!」
語り手:床から隠していたアサルトライフルを取り出し
語り手:すべての銃弾を打ち切る
タイキ:「ピエローーーーーー!!」
ナス:「あはは、、、これで、あの化け物もおわりっす!」
語り手:煙(けむり)が晴れた先に黒のスーツをまとった怪物がいた
語り手:顔はただれ、、、気持ち悪いが、そいつは迷うことなく
語り手:クスノキの腹を殴る
クスノキのアニキ:「ぐは!!」
ピエロ:「せっかくの一張羅(いっちょうら)が台無しだろ?クソガキ」
ナス:「クスノキのアニキー!」
ナス:「なんだよ!てめぇは!?」
語り手:静かに語りだすピエロ
ピエロ:「かつて、人に殺す怪異(かいい)として生み出された裏路地のジョーカーは」
ピエロ:「人しか殺せない妖怪に笑いを教わった」
ピエロ:「俺は、、、そいつを殺すために!あの路地裏の、、、笑いの神様になってやる!」
語り手:この世の悪意のふきだまり
語り手:そこには妖(あやかし)と怪物(かいぶつ)に実はあふれていた
クスノキのアニキ:「つまんねぇこと言ってんじゃねぇ!」
ピエロ:「そうだ、、、つまらない話だ、、、」
語り手:だから、、、私たちは時代と共に消えてきた
ピエロ:「だからよ、、、俺はそのルールを変えたいんだよ」
ナス:「何言ってんだ、、、こいつ?」
語り手:強く握りしめた拳
語り手:片手の看板を投げ捨て、、、二人へと立ち向かう
ピエロ:「人殺しの拳を!誰かの笑顔のために使ってやるんだ!!」
語り手:重い腹パンがクスノキをつらぬく
ピエロ:「この道は、、、誰にも邪魔(じゃま)させねぇ!!」
クスノキのアニキ:「ぐ、、、はぁ、、、、」
語り手:糸が切れたように倒れるクスノキ
ナス:「ひぃぃぃぃぃ!」
ピエロ:「この町で、、、俺が笑えねぇことをすんじゃねぇ、、、次は殺すぞ?」
語り手:逃げ出す下っ端を追わないピエロ
ピエロ:「おいおい、、、言い逃げっぷりだな?笑えるぜ?お前らのくだらない生き様」
語り手:少年の縄(なわ)をほどくピエロ
ピエロ:「よく頑張ったな、、、お前の両親も喜んでるぜ?」
語り手:少年は、、、ピエロの胸に抱きつく
ピエロ:「おいおい、、、怖くねぇのか?俺は化け物だぜ?」
語り手:泣き続ける少年を優しく抱き寄せる怪物
ピエロ:「まいっちまうな、、、お前の笑顔を見に来ただけなのによ、、、」
語り手:その日から一人の人殺しの怪異は、、、笑いの神様を目指す
語り手:そんなくだらない物語、、、
語り手:まっているわピエロ、、、私、口裂け女を殺してくれる日を、、、



語り手:知ってるかしら?人知れず語れる怪異を
語り手:笑えなくなったら、そこに飛び込むといい
語り手:きっと、笑えないあなたを彼が殺してくる
ピエロ:「泣いてどうしただい?俺?笑いの神様ピエロだよ~」
語り手:きっと、彼が笑顔で出迎(でむか)えてくる
ピエロ:「さて、、、何のようだい?お客様」
語り手:ようこそ、、、路地裏へ


0:世界が悪にあふれるなら、、、善意にだってあれてる